チンドウィン川

チンドウィン川の概要

チンドウィン川（チンドウィンがわ、Chindwin Myit）は、ミャンマーの重要な河川で、エーヤワディー川の最大の支流として知られています。この川は北部カチン州のフーコン渓谷に源を発し、マンダレー近郊でエーヤワディー川と合流します。チンドウィン川は、マニプリ語では「ニン・ティー川」と呼ばれることもあります。

地理的特性

チンドウィン川は、フーコン渓谷内の北緯26度26分18秒、東経96度33分32秒の地点に源流を持ちます。この地点では、タナイ・クハ川、タビエ川、タワン川、タロン川の4つの川が合流しており、これらの川がチンドウィン川の基礎を形成します。特に、タナイ・クハ川の水源はモガウン北方のクモン山系に近い地点にあり、ここから上流のフーコン渓谷へと流れ込んでいきます。

フーコン渓谷を抜けてからは、川はタロン渓谷を流れ、その後は南下し続け、シンカリン・ハカマティやホマリンの町を通ります。ホマリンでは、左岸からウユ川が合流し、この川はチンドウィン川の中でも最大の支流となります。

さらに、右岸からはユ川、下流からはミイッタ川が続き、特にカレワの町付近は重要な合流地点の一つです。チンドウィン川は、ビルマの中央平原へと入ると流れの方向を南東に転じ、最終的にはエーヤワディー川に合流します。

合流地点は非常に広いデルタ地帯となっており、流れに沿って多くの島や中州が存在します。この地域には住民も多く住んでおり、流域の地形は伝説に基づく歴史的な要素も含まれています。1824年の大洪水など、自然災害による影響も地形に変化をもたらしました。

自然環境

チンドウィン川流域は多くが森林に覆われており、またインドとの国境に近いため、アクセスが難しい地域となっています。そのため、多くの部分は生息環境としての利用が限られています。気候は熱帯モンスーン気候に属し、北部から中部では雨季と乾季の降水量が著しく異なるため、川の水量や幅が大きく変わります。

2004年には、フーコン渓谷内の6,500km²が「フーコン渓谷野生動物保護区」として指定され、トラの保護を目的とした取り組みが行われています。

経済的意義

チンドウィン川は古くから商業活動に利用されてきました。特にフーコン渓谷では、チーク材の伐採や高質なコハク、ウユ川流域からのヒスイなどが重要な資源として営まれていました。ホマリンの町はこれら貴重資源の集積地であり、川に依存した経済活動が展開されています。

歴史的背景

交通が困難なチンドウィン川の流域は、18世紀になってようやくビルマ軍が制圧しました。続く第二次世界大戦中には、連合国軍が上流を渡る際、大きな苦境に立たされました。チンドウィン川は、インドへの侵攻や補給路確保のための重要な障壁となりました。

近年では、フーコン渓谷が金鉱の発見により急速に開発が進んでいますが、その自然環境の保護も求められています。政治的な不安定さの中、経済発展と自然環境保護の両立が課題となっている地域です。

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