マンダレー:ミャンマーの歴史と文化が息づく古都
マンダレーは、
ミャンマー(旧ビルマ)で
ヤンゴンに次ぐ第二の都市であり、
人口は約214万人に達します。
エーヤワディー川東岸に位置し、国土の中央部に位置するこの都市は、かつて
コンバウン王朝の
首都として栄華を誇りました。その歴史、文化、経済的側面について詳しく見ていきましょう。
歴史
1859年、ミンドン王によって建設されたマンダレーは、
1885年に
イギリスに併合されるまで、ビルマ最後の独立王朝の
首都でした。この都市は、
仏教の2400周年を祝う祭典の際に、ブッダの予言に従って建設されたとされています。
ミンドン王は、アマラプラから王都を移す際、王都を「レーチュンアウンミェー」、王宮を「ミャナンサンチャウ」、そして王国を「ヤダナーボン・ネーピードー」と名付けました。その後、丘の名にちなんで「マンダレー」と呼ばれるようになりました。この名前は、
パーリ語の「平原」を意味する「Mandala」や、「幸運の地」を意味する「Mandare」に由来すると言われています。
しかし、マンダレーは
1885年の第三次英緬戦争で
イギリスに占領され、王族はインドへ亡命しました。王宮はダファリン要塞と改名され、
イギリス軍の駐屯地として使われることとなりました。その後、王宮の財宝の一部は
イギリスに持ち去られ、現在でもヴィクトリア&アルバート美術館で見ることができます。
第二次世界大戦中、マンダレーは
日本軍に占領され、王宮は兵站部に転用されました。戦後、
イギリス軍によって解放されたものの、王宮は爆撃によって完全に焼失しました。その後、1980年代に
ネ・ウィンによって忠実に復元されました。
1948年、ビルマは
イギリスから独立し、マンダレーはマンダレー地方域の区都となりました。
経済と交通
マンダレーは、
ミャンマー国鉄の重要なターミナル駅があり、
ヤンゴンからの幹線鉄道の終着駅であると同時に、北部への支線の起点でもあります。近年、中国の経済力が強まっており、マンダレー経済において中国資本の存在感が増しています。1999年には、中国の援助によりマンダレー国際空港が開港しました。
エーヤワディー川は「マンダレーへの道」として知られ、農産物等の物流の大動脈となっています。マンダレーは、北部および中部
ミャンマーの取引と通信の中心地でもあります。主要産業には、
絹織物、
タペストリー、
ヒスイの加工、
彫刻、
仏像制作、金箔の製造、ビール醸造などが挙げられます。
マンダレービールは、
ミャンマーで有名なビールであり、マンダレーラガー、マンダレー赤ラガー、マンダレーエールを製造しています。
文化と気候
マンダレーは、
ミャンマーの
仏教文化と信仰の中心地であり、数多くの僧院と700を超える
パゴダが存在します。特に、クドードー
パゴダには、世界最大の書物として知られる仏典が収められており、729枚の石盤に
パーリ語の仏典が刻まれています。
マンダレーは、旧市街が堀で囲まれており、その中にはマンダレー王宮の復元された建物や刑務所などがあります。気候は、4月が最も暑く、40℃近くまで上がることもあります。
雨季は、おおよそ5月から10月までです。
近年の課題
近年、マンダレーでは中国人移民の増加が問題となっており、地元住民の生活に影響を与えています。一部の中国人は、不正に
ミャンマーの国民証明書を入手し、現地で事業を展開しているとされています。これらの問題は、マンダレーが抱える課題として注目されています。
まとめ
マンダレーは、歴史と文化、そして経済的な発展が交錯する
ミャンマーの重要な都市です。古都としての魅力と、現代的な課題の両方を抱えながら、この都市は今もなお
ミャンマーの中心としてその役割を果たしています。
参考資料
* 「ほとけの乙女
ミャンマーの
仏塔・寺院と少女たち」むそうたかし著
雷鳥社、2024年