チヴィダーレ・デル・フリウーリ
チヴィダーレ・デル・フリウーリは、イタリア共和国フリウーリ＝ヴェネツィア・ジュリア州ウーディネ県に位置する、人口約11,000人のコムーネ（基礎自治体）です。この都市は、ユリウス・カエサルによって建設された古代都市に起源を持ち、中世にはこの地域の政治的な中心地の一つとして発展しました。フリウーリという地域名は、この都市の古名に由来しています。現在は静かな小都市ですが、中世の雰囲気を色濃く残す市街地は、多くの観光客を魅了しています。特に、ランゴバルド王国時代の遺跡群は、ユネスコの世界遺産に登録されており、その歴史的価値は非常に高いです。
この都市は、標準イタリア語以外にも、フリウリ語で「Cividât」、スロベニア語で「Čedad」、ドイツ語で「Östrich」と呼ばれています。古代には、ラテン語で「ユリウスのフォルム（広場）」を意味する「Forum Iulii」と呼ばれていました。この名称は、当時の総督であったユリウス・カエサルにちなんで名付けられました。この「Forum Iulii」が変化して、フリウーリという地域名になったとされています。また、ジュリア・アルプス山脈は、その麓にユリウス・カエサルが建設したこの都市があることに由来しています。
チヴィダーレは、ウーディネ県の東部に位置し、スロベニアとの国境に近い場所にあります。市街地は、県都ウーディネから東へ約15km、ゴリツィアから西北へ約23km、アクイレイアから北へ約37kmの距離にあります。東アルプスのジュリア・アルプス山脈の麓に位置し、ナティゾーネ川が市街を流れています。
隣接するコムーネとしては、北東にサン・ピエトロ・アル・ナティゾーネ、南東にプレポット、南にコルノ・ディ・ロザッツォ、南西にプレマリアッコ、西にモイマッコ、北西にトッレアーノがあります。
気候は、イタリアの気候分類でzona Eに分類され、地震リスク階級ではzona 2（中程度の地震リスク）に分類されています。
チヴィダーレは、紀元前50年にユリウス・カエサルによって、ローマ共和国のムニキピウム（自治都市）として建設されました。当時、アクイレイアとウェルディデナ（現在のインスブルック）を結ぶイウリア・アウグスタ街道沿いに位置しており、その名称は「Forum Iulii」でした。考古学的調査の結果、この地域にはそれ以前からウェネティイ人やケルト人が居住していたことが確認されています。5世紀初頭にアクイレイアなどの都市が破壊されると、チヴィダーデがこの地域の中心都市として台頭しました。
568年、ランゴバルド人が北イタリアに侵攻した際、チヴィダーレは最初に占領された主要都市となり、ランゴバルド王国の最初の首都に選ばれました。その後、アルボイーノ王は甥のギスルフ1世をフリウーリ公に任命し、チヴィダーレはフリウーリ公国の都となりました。774年にランゴバルド王国がフランク王国に滅ぼされた後も、フリウーリ公ロドガンドは776年まで抵抗を続けました。カール大帝の時代には、都市の名前は「Civitas Austriae」と改称され、フランク領イタリアの「東の都市」という意味を持ちました。
フランク王国とローマ教皇の提携により、773年にはアクイレイアの総大司教がチヴィダーレに拠点を移しました。1031年にアクイレイアに帰還するまで、この都市は宗教的にも重要な役割を果たしました。1077年に神聖ローマ帝国がアクイレイア総大司教国を認めると、チヴィダーレはその首都の一つとなりました。1238年に総大司教がウーディネに移転すると、ウーディネとの間に確執が生じました。この対立は、15世紀前半に両都市がヴェネツィア共和国に屈するまで続きました。1420年にチヴィダーレは正式にヴェネツィア共和国に編入されました。
ナポレオン戦争後、チヴィダーレはオーストリア帝国の一部であるロンバルド＝ヴェネト王国に編入されました。1866年には、イタリア王国の一部となりました。
人口は、歴史的な変動を経て現在に至ります。行政区画としては、いくつかの分離集落（フラツィオーネ）が存在します。
旧市街の中心にはドゥオーモ広場があり、チヴィダーレ国立考古学博物館や、アンドレーア・パッラーディオが設計したパラッツォ・プレトリオがあります。また、ナティゾーネ川にかかる「悪魔橋」も有名です。この橋は15世紀に最初に架けられ、1918年に再建されたものです。その他、「ケルト人のヒュポゲウム（地下石室）」も注目すべき場所です。
チヴィダーレの大聖堂は、15世紀にヴェネツィア・ゴシック様式で建築され、16世紀に完成しました。内部には聖母に捧げられた祭壇や、総大司教ペリグリヌス2世の祭壇画があります。また、大聖堂に付設されたキリスト教博物館には、ローマやランゴバルド時代の貴重な美術工芸品が収蔵されています。
15世紀に架けられた悪魔橋は、サンマルティノ教会とを結んでおり、この教会にはランゴバルド王ラトキスの寄進による祭壇があります。ナティゾーネ川のほとりにあるサンタ・マリーア・イン・ヴァーレ小礼拝堂（通称ロンバルド寺院）は、8世紀後半の中世建築で、ランゴバルド人の王侯の宮廷礼拝堂として使われていたと考えられています。
「ガスタルダガ地区と司教関連建造物群」は、ユネスコの世界遺産「イタリアのロンゴバルド族:権勢の足跡 (568-774年)」の一部として登録されています。
名称の変遷
この都市は、標準イタリア語以外にも、フリウリ語で「Cividât」、スロベニア語で「Čedad」、ドイツ語で「Östrich」と呼ばれています。古代には、ラテン語で「ユリウスのフォルム（広場）」を意味する「Forum Iulii」と呼ばれていました。この名称は、当時の総督であったユリウス・カエサルにちなんで名付けられました。この「Forum Iulii」が変化して、フリウーリという地域名になったとされています。また、ジュリア・アルプス山脈は、その麓にユリウス・カエサルが建設したこの都市があることに由来しています。
地理
チヴィダーレは、ウーディネ県の東部に位置し、スロベニアとの国境に近い場所にあります。市街地は、県都ウーディネから東へ約15km、ゴリツィアから西北へ約23km、アクイレイアから北へ約37kmの距離にあります。東アルプスのジュリア・アルプス山脈の麓に位置し、ナティゾーネ川が市街を流れています。
隣接するコムーネとしては、北東にサン・ピエトロ・アル・ナティゾーネ、南東にプレポット、南にコルノ・ディ・ロザッツォ、南西にプレマリアッコ、西にモイマッコ、北西にトッレアーノがあります。
気候は、イタリアの気候分類でzona Eに分類され、地震リスク階級ではzona 2（中程度の地震リスク）に分類されています。
歴史
古代
チヴィダーレは、紀元前50年にユリウス・カエサルによって、ローマ共和国のムニキピウム（自治都市）として建設されました。当時、アクイレイアとウェルディデナ（現在のインスブルック）を結ぶイウリア・アウグスタ街道沿いに位置しており、その名称は「Forum Iulii」でした。考古学的調査の結果、この地域にはそれ以前からウェネティイ人やケルト人が居住していたことが確認されています。5世紀初頭にアクイレイアなどの都市が破壊されると、チヴィダーデがこの地域の中心都市として台頭しました。
中世
568年、ランゴバルド人が北イタリアに侵攻した際、チヴィダーレは最初に占領された主要都市となり、ランゴバルド王国の最初の首都に選ばれました。その後、アルボイーノ王は甥のギスルフ1世をフリウーリ公に任命し、チヴィダーレはフリウーリ公国の都となりました。774年にランゴバルド王国がフランク王国に滅ぼされた後も、フリウーリ公ロドガンドは776年まで抵抗を続けました。カール大帝の時代には、都市の名前は「Civitas Austriae」と改称され、フランク領イタリアの「東の都市」という意味を持ちました。
フランク王国とローマ教皇の提携により、773年にはアクイレイアの総大司教がチヴィダーレに拠点を移しました。1031年にアクイレイアに帰還するまで、この都市は宗教的にも重要な役割を果たしました。1077年に神聖ローマ帝国がアクイレイア総大司教国を認めると、チヴィダーレはその首都の一つとなりました。1238年に総大司教がウーディネに移転すると、ウーディネとの間に確執が生じました。この対立は、15世紀前半に両都市がヴェネツィア共和国に屈するまで続きました。1420年にチヴィダーレは正式にヴェネツィア共和国に編入されました。
近代・現代
ナポレオン戦争後、チヴィダーレはオーストリア帝国の一部であるロンバルド＝ヴェネト王国に編入されました。1866年には、イタリア王国の一部となりました。
社会
人口は、歴史的な変動を経て現在に至ります。行政区画としては、いくつかの分離集落（フラツィオーネ）が存在します。
文化・観光
旧市街の中心にはドゥオーモ広場があり、チヴィダーレ国立考古学博物館や、アンドレーア・パッラーディオが設計したパラッツォ・プレトリオがあります。また、ナティゾーネ川にかかる「悪魔橋」も有名です。この橋は15世紀に最初に架けられ、1918年に再建されたものです。その他、「ケルト人のヒュポゲウム（地下石室）」も注目すべき場所です。
チヴィダーレの大聖堂は、15世紀にヴェネツィア・ゴシック様式で建築され、16世紀に完成しました。内部には聖母に捧げられた祭壇や、総大司教ペリグリヌス2世の祭壇画があります。また、大聖堂に付設されたキリスト教博物館には、ローマやランゴバルド時代の貴重な美術工芸品が収蔵されています。
15世紀に架けられた悪魔橋は、サンマルティノ教会とを結んでおり、この教会にはランゴバルド王ラトキスの寄進による祭壇があります。ナティゾーネ川のほとりにあるサンタ・マリーア・イン・ヴァーレ小礼拝堂（通称ロンバルド寺院）は、8世紀後半の中世建築で、ランゴバルド人の王侯の宮廷礼拝堂として使われていたと考えられています。
「ガスタルダガ地区と司教関連建造物群」は、ユネスコの世界遺産「イタリアのロンゴバルド族:権勢の足跡 (568-774年)」の一部として登録されています。
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