ツァスタバ M57

ツァスタバ M57：旧ユーゴスラビアが生んだ自動式拳銃

ツァスタバ M57は、旧ユーゴスラビア（現セルビア）のツァスタバ・アームズ社で開発された自動式拳銃です。元々は軍用として設計され、その堅牢性と信頼性から長年にわたり使用されてきました。

設計と特徴

M57の設計は、旧ソ連のトカレフTT-33自動式拳銃をベースにしています。TT-33の設計を参考に、いくつかの改良が加えられています。

装弾数の増加: グリップフレームが延長され、装弾数が8発から9発に増加しています。これにより、継戦能力が向上しています。
マガジンセフティの追加: マガジンを外した状態では射撃できないようにする安全機構が追加されています。これにより、誤射のリスクを低減しています。

フレームとスライドは耐久性の高いスチール合金で作られており、グリップパネルにはポリマーまたはウォールナットが使用されています。また、クロームメッキモデルも存在し、外観の選択肢も用意されています。

作動方式は、ティルトバレル式ショートリコイル方式を採用しており、これはTT-33と同様です。撃発機構はハンマー露出型のシングルアクション方式で、シンプルで確実な動作が特徴です。

基本モデルには、TT-33と同様にマニュアルセフティは存在しませんが、マガジンセフティが追加されているため、安全性が向上しています。

歴史と運用

M57は、旧ユーゴスラビア軍の標準制式拳銃として採用され、長年にわたり使用されました。その後、後継となるツァスタバ CZ99が登場しましたが、M57は現在でもツァスタバ・アームズ社の製品ラインナップに護身用拳銃として掲載されています。

派生型

M57には、いくつかの派生型が存在します。

M57A: スライド左側面にマニュアルセフティを追加したモデルです。基本モデルの安全性をさらに高めています。現在もツァスタバ・アームズ社の製品一覧に掲載されています。
M57S: フレーム左側面のトリガー後方にマニュアルセフティを追加したモデルです。民間市場向けに開発されましたが、現在はツァスタバ・アームズ社の製品一覧からは削除されています。
M70: 使用弾薬を9x19mmパラベラム弾に変更したモデルです。これに伴い、ライフリングは4条から6条に、装弾数は8発に変更されています。現在は製品名がM70Aになっています。
M70A: M70のスライド左側面にマニュアルセフティを追加したモデルです。現在は製品名がM70AAになっています。

また、M57をベースにした小型・小口径のM70も存在します。

運用国

M57およびM70は、以下の国で使用されています。

ボスニア・ヘルツェゴビナ
クロアチア
モンテネグロ
セルビア

まとめ

ツァスタバ M57は、TT-33をベースに改良を加え、装弾数の増加や安全機構の追加を行った自動式拳銃です。旧ユーゴスラビア軍の制式拳銃として採用され、現在でも護身用として販売されています。派生型も存在し、様々なニーズに対応しています。

参考資料

拳銃
自動式拳銃
* 拳銃一覧

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