トカレフTT-33

トカレフ TT-33：ソ連が生んだ不朽の名銃

トカレフTT-33は、1933年にソビエト連邦が制式採用した軍用自動拳[[銃]]であり、設計者のフョードル・トカレフの名を冠し、TT-30/33とも呼ばれています。この銃は、徹底的に単純化された設計と、過酷な環境下でも高い耐久性を誇ることで知られています。

開発の背景

1920年代のソ連では、帝政時代からのナガン・リボルバーが軍用拳[[銃]]として使用されていましたが、その構造の複雑さと生産性の低さが問題視されていました。また、第一次世界大戦やロシア革命後の混乱期に、様々な種類の拳[[銃]]が流入し、装備の統一が急務となっていました。そこで、赤[[軍]]は1928年から軍用自動拳[[銃]]開発のトライアルを開始し、トカレフが開発したTT-1930が、その原型となりました。

設計思想

トカレフは、アメリカのM1911のメカニズムを参考にしながら、徹底的な単純化を追求しました。多くの部品を一体化し、可能な限り省略することで、部品点数と組立工数を削減しています。また、工具なしで分解できる設計は、メンテナンス性を高め、過酷な戦場での使用を考慮したものでした。安全装置を省略したのも、生産性を優先し、部品の凍結による作動不良のリスクを減らすためでした。

特徴的な機構

ショートリコイル機構: 強力な弾丸を安全に発射できる、コルトM1911と同様の方式を採用。
一体化された機関部: ハンマー、シア、ディスコネクタなどを一体化し、生産性と整備性を向上。
弾倉矯正バー: 弾倉の変形による給弾不良を防止する独自の機構。
露出したスライドストッパー: コストと工数を削減した、単純な構造のスライドストッパー。
ベークライト製グリップ: 共産圏の軍用拳[[銃]]に共通する、星マーク入りのグリップ。

使用弾薬

トカレフTT-33は、7.62x25mm弾を使用します。この弾薬は、元々ドイツのモーゼルC96で使用されていた7.63x25mm弾を流用したもので、ボトルネック形状が特徴です。高初速であり、貫通力に優れていますが、射程距離は大口径の銃弾に劣ります。また、共産圏で製造された弾薬の中には、鉄製の弾芯を使用した徹甲弾に似た効果を持つものも存在しました。

安全装置のない銃

トカレフTT-33の最大の特徴は、安全装置が省略されていることです。これは、生産性を最優先した結果であり、訓練された兵士が使用することを前提としていました。しかし、この設計は暴発のリスクを伴い、ハンガリーやユーゴスラビアで生産された派生型では、後から手動セーフティが追加されました。

運用と影響

トカレフTT-33は、独ソ戦をはじめとする多くの戦場で使用され、その信頼性と耐久性で評価されました。ソ連本国では、マカロフPMに後を譲りましたが、中国をはじめとする共産圏諸国でライセンス生産・コピー生産が行われました。中国製のトカレフは、1980年代以降日本にも多数が密輸入され、犯罪に使用されることで、一般にも広く知られるようになりました。

派生型

51式拳[[銃]]: 中国で最初に生産されたノックダウンモデル。
54式拳[[銃]]: 中国で開発された、オリジナルのトカレフを改良したモデル。
68式拳[[銃]]: 北朝鮮で開発された、トカレフの影響を受けた自動拳[[銃]]。
* M57拳[[銃]]: ユーゴスラビアで開発された、装弾数を増やし、安全機構を追加した改良型。

まとめ

トカレフTT-33は、その単純さと信頼性から、20世紀の軍用拳[[銃]]として広く使用されました。安全装置の省略など、独特な設計思想は賛否両論ありますが、その歴史的な意義は否定できません。現在でも、多くの国でその派生型が使用されており、不朽の名銃として語り継がれています。

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