ツインテール (航空)

ツインテール（双尾翼）

ツインテールは、航空機の尾翼設計において非常に特異な形式であり、垂直に配置された二つの尾翼が特徴的です。この構造は、主翼の外部に配置された水平尾翼の端に取り付けられることが一般的で、特に第二次世界大戦中の多くの多発機で見られます。視覚的には大文字の「H」の形に似ているため、H字尾翼とも呼ばれています。

このデザインは、アメリカのB-24リベレーターやB-25ミッチェル、イギリスのアブロ ランカスターやハンドレページ ハリファックス、さらにはソビエト連邦のペトリアコフPe-2攻撃爆撃機など、数多くの著名な航空機に採用されています。

設計の利点

ツインテールの最大の利点の一つは、操縦翼面を分割することで、通常大きな単一尾翼を必要とせず、追加の舵面を提供する点にあります。特にマルチエンジン機においては、プロペラのスリップストリームを受ける形で動作するため、低速時やタキシング中におけるラダーの効果が向上し、操縦性の向上が期待できます。

さらに、この構造は格納庫での収納要件を簡素化し、機体後部での火力を向上させる役割も果たします。高迎角飛行を行う際には、単一の垂直尾翼が持つ効果が低下する場面でも、ツインテールの形状が有利とされます。また、仮に一方の垂直尾翼が損傷した場合でも、もう一方は機能するため、安全性の向上にも寄与しています。

近年の軍用機においては、ツインテールデザインが単尾翼機よりもステルス性を高める効果も期待されることもあり、この設計は注目を浴びています。

バリエーション

ほとんどのジェット機には例外がありますが、カナード機の設計においてもツインテールがしばしば用いられています。中には、三つ以上の垂直尾翼を持つ航空機も存在し、非常に珍しい事例です。特に、E-2ホークアイのように、独特な配置が施された機体もあります。

ツインテールの特殊なバリエーションには、ツインブームテールやダブルテールと呼ばれるものがあり、これは二つの胴体部分にそれぞれ尾翼がつく設計です。例えば、ロッキードP-38ライトニングやノースロップP-61ブラックウィドウといった機体がこれに該当します。

ツインテール航空機の例

ツインテールを持つ重要な航空機には、B-24リベレーター、ハンドレページハリファックス、アブロランカスター、P-38ライトニングなどが含まれます。ただし、この配置は第二次世界大戦の機体に限らず、F-14トムキャットやF-15イーグル、スホーイSu-27、MiG-29、A-10サンダーボルトIIに見られるように、近代の戦闘機にも採用されています。

さらには、アントノフ系列やビーチクラフトなどの民間輸送機にもツインテール設計が利用されています。また、Su-57のように全浮動双垂直尾翼を持ち、機体の性能を向上させるモデルも存在します。

まとめ

ツインテールは、航空機デザインにおいて重要な役割を果たす尾翼形式であり、様々なメリットがあります。そのため、歴史的にも近代的にも多くの機体に多用されており、今後もその進化が期待されます。

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