ツェンタル (ボスニア・ヘルツェゴビナ)

ツェンタル：サラエヴォの中心

ツェンタル（Centar）は、ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエヴォに位置する基礎自治体であり、サラエヴォを構成する主要な4つの自治体の一つです。旧市街のスタリ・グラードと新市街のノヴィ・グラード、ノヴォ・サラエヴォの間に位置しています。

特徴

ツェンタルは、サラエヴォの行政、ビジネス、商業、文化、教育、そして医療の中心地としての役割を担っています。事実上、ツェンタルはサラエヴォの中核であり、国家や市の官公庁が集中しています。自治体の面積は3,313ヘクタールで、そのうち約17%が住宅地です。土地の所有形態は私有地が約1,600ヘクタール、公有地が1,713ヘクタールと、ほぼ半分ずつを占めています。

特筆すべきは、5月2日が「ツェンタル自治体の日」として祝われていることです。これは、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争中に、セルビア人勢力によるボスニア・ヘルツェゴビナ大統領評議会への攻撃から、市民が勇敢に守り抜いたことを記念するものです。また、1984年のサラエヴォオリンピックの会場となった施設も多く存在しています。

歴史

サラエヴォ包囲は、ツェンタル地域に壊滅的な被害をもたらしました。紛争前には79,000人の人口を擁し、その大半はボシュニャク人でしたが、紛争中に約7,000人の市民が犠牲となりました。この地域は主要な戦闘地域となり、多くの地雷が埋設されました。しかし、2003年12月には、政府によってツェンタル地域から全ての地雷が撤去されたことが宣言されています。

人口動態

以下に、ツェンタルの人口構成の変遷を示します。

1971年

合計: 126,598人
ムスリム人: 74,354人 (58.73%)
セルビア人: 27,658人 (21.84%)
クロアチア人: 12,903人 (10.19%)
ユーゴスラビア人: 5,944人 (4.69%)
その他: 5,739人 (4.55%)

1991年

合計: 79,286人
ムスリム人: 39,761人 (50.14%)
セルビア人: 16,631人 (20.97%)
クロアチア人: 5,428人 (6.84%)
ユーゴスラビア人: 13,030人 (16.43%)
その他: 4,436人 (5.62%)

2002年

2002年の政府調査によると、ツェンタル自治体の人口は約80,000人で、その内訳はボシュニャク人が82%、セルビア人が12%、クロアチア人が4%、その他が2%となっています。

ツェンタルは、サラエヴォの歴史、文化、そして多様性を象徴する地域であり、紛争からの復興と発展を続ける重要な場所です。

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