ツェーシス

ラトビアの古都ツェーシス：歴史と自然が織りなす魅力

ラトビアのヴィッゼメ中央高地の北部、ガウヤ川沿いの高台に位置するツェーシス（Cēsis）は、中世の面影を残す歴史都市です。古くはヴェンド人と呼ばれるスラブ系の部族が、東西交易路沿いのリエッツ丘上に木製の砦を築いたことに始まります。この砦は高さ18mの山上に築かれ、その一部は現在も公園として公開されています。

1209年、リヴォニア帯剣[[騎士団]]（後にドイツ十字軍に吸収）は、この砦のそばにヴェンデンの城を建設しました。その後、城は拡大強化され、1237年から1561年までの間は、一時的な例外を除き、騎士団長の居城として機能しました。しかし、1577年、ロシアのイワン雷帝の侵攻を阻止するため、駐屯部隊が自ら城を破壊するという悲劇的な出来事が起こります。

その後、ツェーシスはポーランド・リトアニア共和国、スウェーデンと支配者が変わり、大北方戦争中の1703年にはロシア軍によって再び破壊され、廃墟と化しました。16世紀末にはすでに騎士団の居館だった建物は、ツェーシス城塞の一部として改修され、1777年にはジーファース伯が城を手に入れ、城の東側に新しい居館を建設、既存の城壁や塔と一体化させました。この新しい城館は、1949年からはツェーシス歴史博物館として活用されています。城塞内には穀倉や厩舎なども残り、これらも展示場や博物館として利用されています。また、城塞の横にはラトビア最古の醸造所「Cēsu alus darītava」があり、その起源は騎士団時代にまで遡ります。1812年にはツェーシス城公園が設立され、遊歩道や池などが整備され、当時の面影を今に伝えています。

ツェーシス市街は13世紀後半に計画的に建設されました。市場広場と教会を中心とした街は、石灰の城壁と8つの塔、5つの門に囲まれていました。聖ヨハネ教会（1281年-1284年）や騎士団の城、一部残る城壁など、中世の建築物が現在も街に残されています。度重なる戦争と火災にもかかわらず、中世の道路網や建物の配置は、当時の面影を伝えています。18世紀以降の建物もいくつか残り、リガ通りやガウヤ通りなどにその例を見ることができます。

1868年のリガ―プスコフ間の道路開通、1889年の鉄道敷設により、ツェーシスは急速に発展しました。鉄道駅から旧市街を結ぶラウナス通りは整備され、ラトビア社交館や地方裁判所などの重要な建物が建設されました。さらに、ツェーシスは健康リゾート地としても開発され、ガウヤ川周辺には豪華な別荘やヘルスセンターが建てられました。“聖なる泉”として知られるスヴェタヴォッツ洞窟近くのチルリジの泉は、ヒーリング効果があると信じられています。

ツェーシスは、歴史的な城塞、中世の街並み、そして美しい自然と、多くの魅力を兼ね備えた、ラトビアを代表する歴史都市です。

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