ツノゼミ科

ツノゼミ：奇妙な姿に隠された生態と分類

ツノゼミ科（Membracidae）は、カメムシ目（半翅目）に属する昆虫の一群です。ヨコバイやセミに近縁であり、世界中で約600属3200種、日本国内では16種が確認されています。

形態

ツノゼミの最大の特徴は、胸部背面にある「ヘルメット」と呼ばれる突起です。この突起は種によって形状が大きく異なり、烏帽子、剣、樹木の枝など、多様な形態が見られます。

このヘルメット状構造の起源については議論がありましたが、従来の説では前胸が変形したものと考えられていました。しかし、2011年には、この構造が昆虫の祖先的な「第3の翅」に由来するという仮説が発表されました。もっとも、この仮説に対しては、昆虫の翅の基部構造研究者からデータの解釈に問題があるとの反論が出ており、現在では前胸の変形であるという説が有力です。

生態

ツノゼミは植物の茎や幹に生息し、篩管液を питается. 余分な糖分と水分は甘露として排泄され、アリに利用されます。アリは甘露を食料とする代わりに、ツノゼミを天敵から守ることで、相利共生の関係を築いています。アシナガバチの一種も、ツノゼミと相利共生の関係を持つことが知られています。

分類

ツノゼミ科にはいくつかの亜科が記載されていますが、分類体系はまだ確定していません。中南米の亜熱帯・熱帯地域には全ての亜科が生息していますが、日本を含むアジア、オセアニア、アフリカにはツノゼミ亜科の種のみが記録されています。

主な亜科は以下の通りです。

ツノゼミ亜科 (Centrotinae)
エボシツノゼミ属 (Bulbauchenia)
ニトベツノゼミ属 (Centrotus)
イカリツノゼミ属 (Leptobelus)
タカネツノゼミ属 (Leptocentrus)
ツノゼミ属 (Orthobelus)
セダカツノゼミ属 (Pantaleon)
コツノゼミ属 (Tricentros)
Darninae
Endoiastinae
Heteronotinae
Membracinae
Nicomiinae
Smiliinae
* Stegaspidinae

人間との関係

ほとんどのツノゼミは人間にとって無害ですが、一部の種は農業害虫として知られています。例えば、Spissistilus festinus はムラサキウマゴヤシを、Stictocephala bisonia はリンゴなどの果樹を食害します。また、Oxyrachis tarandus は、薬用植物のアシュワガンダを利用することが報告されています。

まとめ

ツノゼミは、その奇妙な形態と多様な生態で私たちを魅了する昆虫です。分類や進化に関する研究はまだ進行中であり、今後の発見が期待されます。

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