ツリウムの同位体

ツリウム（Tm）の同位体について

ツリウム（Tm）は、周期表上でランタノイドに分類される元素で、特に同位体の多様性が注目されています。天然に存在する同位体は169Tmのみで、これは安定同位体と見なされています。一方で、その他の31種類の同位体は全て放射性であり、それぞれ異なる特性を持っています。

放射性同位体の特性

ツリウムの放射性同位体の中で最も安定しているのは171Tmで、その半減期は1.92年です。次に安定な同位体は170Tmで、半減期は128.6日です。168Tmは93.1日、167Tmは9.25日という短い半減期を持ち、その他の同位体はほとんどが64時間以内、特に多くは2分以内に崩壊します。これにより、ツリウムの同位体は短命なものが多く、研究や応用においては慎重な取り扱いが求められます。

放射性同位体以外にも、ツリウムには14種類の核異性体が存在します。中でも164mTmは5.1分、160mTmは74.5秒、155mTmは45秒と、非常に短い半減期を持つものが多いです。これらの核異性体も、物理学や化学の研究における重要な対象となります。

同位体の崩壊過程

ツリウムの同位体はその原子量によって異なる崩壊過程を経て他の元素に変わります。原子量は145.966から176.949の範囲にあり、169Tmより軽い同位体は電子捕獲を経てエルビウムに変換されます。また、169Tmよりも重い同位体はベータ崩壊を経てイッテルビウムに変わります。このため、ツリウム同位体の崩壊過程を理解することは、核反応や元素の生成過程を明らかにする上で必須です。

標準原子量

ツリウムの標準原子量は168.93421(2) uです。この数値は、ツリウムの化学的性質や物理的性質を理解するための指標として用いられます。

参考文献

ツリウムの同位体に関する情報は、さまざまな学術的な資料やデータベースから得られています。たとえば、G. Audiらによる『Ame2003 Atomic Mass Evaluation』やIUPACの『Atomic Weights of the Elements』などがあり、これらの文献にはツリウム同位体の詳細なデータが含まれています。また、Brookhaven National LaboratoryのNational Nuclear Data Centerによるデータも、同位体の特性理解に役立てられています。このように、ツリウムの同位体についての研究は、科学の発展に寄与する重要な領域であると言えるでしょう。

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