ツルウメモドキ

ツルウメモドキ（蔓梅擬）

ツルウメモドキ（学名: Celastrus orbiculatus）は、ニシキギ科ツルウメモドキ属の落葉性のつる植物です。その名の通り、つる性のウメモドキに似ていることに由来しますが、実際にはウメモドキ（モチノキ科）とは異なる植物です。秋に実る鮮やかな橙赤色の果実が美しく、庭木や生け花、装飾用として利用されます。

名称

和名である「ツルウメモドキ」は、つる性の性質を持つことと、葉の形がウメモドキに似ていることに由来します。中国では「南蛇藤」と呼ばれています。

分布と生育地

ツルウメモドキは、日本、中国、朝鮮半島など東アジア一帯に自生しています。日本では、北海道から沖縄まで広く分布し、低地や山地の林縁、日当たりの良い場所に生育します。都市部の公園や庭園などにも植えられています。

北アメリカでは、緑化用や装飾用として導入されましたが、野生化して外来種として広がり、森林を覆うなどの問題を引き起こしています。近縁種であるアメリカツルウメモドキ（C. scandens）との交雑も確認されており、遺伝子汚染が懸念されています。

特徴

ツルウメモドキは、他の植物に絡みつきながら成長する落葉性のつる植物です。つるは最初は直立しますが、他の植物を見つけると巻き付きながら上へ伸びていきます。一年目のつるは緑色で、二年目以降は木質化して茶褐色になり、皮目が目立つようになります。巻き付くものが無い場合は、直径5cm程度まで太くなることがあります。樹皮は灰褐色で、成長すると網目状に浅くひび割れます。若い枝は赤褐色から灰色で、短枝も生じます。

葉は互生し、長さ5〜10cmの倒卵形から楕円形で、葉柄は2cm前後です。葉の縁には浅い鋸歯があり、波打った形状をしています。葉の表面、裏面ともに無毛で、薄い紙のような質感で、網目状の葉脈があります。秋には、黄色から鮮やかな黄色に紅葉し、落葉します。

花期は5〜6月で、雌雄異株です。葉腋から短い集散花序を伸ばし、黄緑色ないし淡緑色の小さな5弁花を多数咲かせます。雄花には5本の雄しべが目立ち、雌花には中心に1本の雌しべがあり、先端が3つに分かれています。

果実は蒴果で、10〜12月頃に淡黄色に熟し、3つに裂けます。中から鮮やかな橙赤色の仮種皮に覆われた種子が現れます。この果実が冬の風景に彩りを添えます。種子は鳥によって散布されます。

冬芽は円錐形または球形で、6〜10枚の芽鱗に覆われています。花芽は丸みを帯びています。葉痕には維管束痕が1個見られます。

利用

ツルウメモドキの果実は、紅葉した葉と共に生け花やリースの材料として利用されます。鮮やかな果実の色が、空間を華やかに彩ります。

近縁種

ツルウメモドキ属（Celastrus）は、アジア、オーストラリア、アメリカに分布しています。日本には、以下の近縁種があります。

オオツルウメモドキ (C. stephanotiifolius)
オオバツルウメモドキ (C. kusanoi)
リュウキュウツルウメモドキ (C. kusanoi var. glaber)
テリハツルウメモドキ (C. punctatus)
イワウメヅル (C. fragellaris*)

これらの近縁種も、ツルウメモドキと同様に、観賞用として利用されることがあります。

もう一度検索