仮種皮

仮種皮とは

仮種皮（かしゅひ、またはかりしゅひ）とは、植物の種子の表面を覆っている付属物のことです。種衣（しゅい）とも呼ばれます。これは、花の珠柄（しゅへい）や胎座（たいざ）が発達することで、種子の外側を包み込み、あたかも種皮のように見える構造をしています。

果肉としての仮種皮

一般的に、植物の果肉は子房壁に由来する果皮が多肉化して形成されます。しかし、仮種皮を果肉として発達させる果実も存在します。例えば、イチイ、ドリアン、リュウガン、ザクロ、アキーなどが挙げられます。これらの果実では、仮種皮が食用となる部分を形成しています。

イチイの仮種皮

仮種皮を説明する上で、イチイは非常に良い例です。イチイの未熟な実に見られる緑色の帯状の部分が、仮種皮の初期状態です。この段階ですでに種子を覆うように形成されていることがわかります。この部分が成熟するにつれて、茶色から赤色へと変化し、肥大化して種子全体を覆うようになります。最終的には、緋色の果肉質に発達し、甘く美味しい部分となります。

仮種皮の役割

イチイの仮種皮は、鳥や小動物にとって魅力的な餌となります。しかし、イチイの他の部分には毒が含まれているため、動物が仮種皮だけを食べることで、種子を安全に運搬してもらう役割を果たしています。このように、仮種皮は植物が種子を遠くまで散布するための重要な戦略の一つと言えるでしょう。

仮種皮は、その多様な形態と機能によって、植物の繁殖戦略において重要な役割を果たしています。単に種子を保護するだけでなく、動物を利用した種子散布を促進するなど、植物の生存戦略に深く関わっているのです。

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