ツール・ド・フランス1963

ツール・ド・フランス1963：50回目の栄光

1963年、ツール・ド・フランスは記念すべき50回目の大会を迎えました。6月23日から7月14日まで、全21ステージにわたる過酷なレースが繰り広げられました。

レース概要

今大会のコース設定は、ピレネー、中央高地、アルプスという順に山岳コースが連続する厳しいものでした。総合3連覇を狙うジャック・アンクティルは、序盤の平坦区間では様子見に徹し、上位争いには加わりませんでした。しかし、第6ステージ後半の個人タイムトライアルでアンクティルが区間優勝。レイモン・プリドールが45秒差で2位に入り、ジルベール・デメが55秒差で3位となり、マイヨジョーヌを獲得しました。この時点でアンクティルは総合7位、フェデリコ・バーモンテスは10位、プリドールは11位と、山岳ステージを前に上位陣は僅差でひしめき合っていました。

山岳ステージの幕開け

第10ステージからはいよいよ山岳ステージが始まりました。バーモンテスが積極的にアタックを仕掛けますが、アンクティルは冷静に対応し、バーモンテス、プリドールらと同タイムでゴール。デメは1分28秒遅れで何とかまとめます。続く第11ステージでもバーモンテスのアタックが続きますが、終盤に捕まり、プリドール、アンクティルがバーモンテスをかわしてゴール。デメは遅れながらもマイヨジョーヌを堅持しました。

中央高地、そしてアルプスへ

舞台は中央高地へ。第14ステージでは、グイ・イニョランら5選手が抜け出し、そのままゴール。デメ、アンクティル、プリドール、バーモンテスらは8分19秒遅れでゴールし、上位陣に変動はありませんでした。中央高地とアルプスを結ぶ第15ステージでは、バーモンテスが快勝。デメ、プリドール、アンクティルらは2分2秒差で集団ゴールし、マイヨジョーヌはデメが守りましたが、2位にバーモンテス、3位にアンクティルが浮上し、プリドールは6位に後退しました。

アルプスに突入した第16ステージ。標高2770mのイズラン峠をトップで通過したフェルナンド・マンザネックが区間優勝。アンクティル、バーモンテス、プリドールは7分40秒差でゴールしましたが、デメは16分40秒の大差をつけられ、ついにマイヨジョーヌを明け渡しました。マイヨジョーヌはバーモンテスが獲得、アンクティルが3秒差で2位、アンリ・アングラードが3位、プリドールが4位という展開になりました。

アンクティルの逆転劇

続く第17ステージは、今大会最大の難関区間。アンクティルはバーモンテスをペースメーカーに使い、最後はバーモンテスを抜き去り区間優勝。マイヨジョーヌを奪還しました。プリドールとアングラードは大きく後退し、アンクティルとの差は12分以上に開きました。

最終局面

山岳ステージが終わった直後の第19ステージは個人タイムトライアル。アンクティルが区間優勝し、バーモンテスとの差を3分35秒に広げ、事実上、総合優勝を決定づけました。アンクティルは、ルイゾン・ボベに続く史上2人目のツール3連覇を達成しました。

この大会は、アンクティルの総合力と戦略、そしてライバルたちの激しい攻防が光る、記憶に残る大会となりました。

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