テアトロン賞

テアトロン賞の概要

テアトロン賞（テアトロンしょう）は、東京の演劇記者たちが集まる「東京演劇記者会」によって設立された演劇賞です。この賞は歌舞伎、商業演劇、新劇、ミュージカルの4つの部門に分かれており、毎年選出されます。特筆すべき点は、個人だけでなく、劇団にも授与されるという独自の特徴を持っていることです。この賞の名称「テアトロン」はギリシャ語で「観客席」を意味し、シアターという言葉の起源でもあります。その名付け親は、当時東京新聞で演劇記者を務めていた中川鋭之助で、後に劇団四季の副社長となりました。

歴代受賞者

テアトロン賞は1955年から始まり、数々の著名な劇団や俳優に授与されてきました。以下に各年度の主な受賞作品を示します。

第1回（昭和30年度）

受賞作品には菊五郎劇団の『妹背山婦女庭訓・吉野川の段』や新派の『太夫さん』などがあり、文学座の『ハムレット』も評価されました。また宝塚歌劇の『ボンジュール・パリ』も受賞対象となり、演劇界における多様な作品の努力が称賛されました。

第2回（昭和31年度）

中村歌右衛門が取り組んだ新派における作品や、前進座の成果、文学座の創作劇活動などが評価を受けました。

第3回（昭和32年度）

新国劇の『風林火山』や千田是也の『タルチュフ』が評価され、越路吹雪が出演したミュージカルも称賛されました。

第4回（昭和33年度）

中村勘三郎の『髪結新三』や松竹新喜劇、宮城まり子の作品が注目されました。特に宮城の『まり子自叙伝』の演技は高く評価されました。

第5回（昭和34年度）

松本幸四郎や三益愛子の演技成果が名を連ね、榎本健一の舞台も注目されました。

第6回（昭和35年度）

大谷友右衛門と坂東鶴之助による演技や、新派の新作劇が評価され、岸田今日子の演技も称賛されました。

第7回（昭和36年度）

市川寿海や東宝現代劇による舞台成果、宝塚歌劇団雪組の作品も受賞しました。

第8回（昭和37年度）

市川團十郎の演技や前進座、劇団民芸の成果が目立ちました。

第9回（昭和38年度）

尾上松緑や山田五十鈴の舞台作品が評価され、ミュージカル『マイ・フェア・レディ』も受賞しました。

第10回（昭和39年度）

尾上梅幸の演技成果や前進座、東宝現代劇の舞台が評価されました。

第11回（昭和40年度）

中村歌右衛門主催の公演や若手俳優の活躍が目立ちました。

第12回（昭和41年度）

『妹背山婦女庭訓』や守田勘彌の演技が称賛され、さまざまなミュージカルも受賞となりました。

このように、テアトロン賞は日本の演劇界における重要な賞として、数多くの作品や演技をたたえてきました。今後もその影響力は続くことでしょう。

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