ティエリ・ビアンキ

ティエリ・ビアンキ

ティエリ・ビアンキ（Thierry Bianquis, 1935年 - 2014年）は、レバノン生まれのフランスの東洋学者であり、中東イスラーム地域の中世史を専門とし、特にファーティマ朝カリフ国の研究でその名を知られています。

生涯

1935年、フランス委任統治下のレバノンのブルムマーナーで生を受けました。幼少期を同地で過ごし、バカロレアを取得後、フランス本土やベイルートで専門的な教育を受けました。その後、リヨンで歴史研究を続けながら、アラビア語文献の研究にも着手しました。アルジェの軍学校で2年間教員を務めた後、1963年に教授資格（アグレガシオン）を取得。さらに3年間、中等教育機関で教鞭を執る中で、アラブの歴史への関心を深めていきました。

1968年頃にはアラブ研究に関する奨学金を得てレバノンへ帰国し、ビクファヤーにあるCentre Religieux pour les Études Arabes (CREA)（現在はサンジョゼフ大学ベイルートの宗教学専攻に合流）に語学研究生として入学しました。

1967年から1975年まで、ダマスクスのフランス国立近東研究所（l'Institut français du Proche-Orient）に研究員として在籍し、1975年から1981年まで同研究所の所長を務めました。また、1971年から1975年までは、カイロのフランス国立オリエント考古学研究所（l'Institut français d'archéologie orientale）にも所属していました。1991年には、リヨン第2大学からイスラームの歴史と文明の分野で名誉教授の称号を授与されました。

ビアンキは、国際的なプロジェクトである『イスラーム百科事典』第2版の編集者の一人でもありました。さらに、ケンブリッジ大学の歴史叢書の一冊である『The Cambridge history of Egypt: Islamic Egypt』の主要な執筆者の一人でもあります。

配偶者はアンヌマリ・（トルクビオ・）ビアンキ（Anne-Marie Bianquis (née Torquebiau)）であり、彼女自身もまたオリエントの専門家です。

ティエリ・ビアンキは、2014年9月2日にリヨンでその生涯を閉じました。

業績

ビアンキの研究は、中世イスラーム史、特にファーティマ朝カリフ国の政治、社会、文化に焦点を当てています。彼の著作は、詳細な史料分析と深い洞察力に裏打ちされており、この分野の研究に大きな影響を与えました。

『イスラーム百科事典』や『The Cambridge history of Egypt: Islamic Egypt』への寄稿は、彼の学術的な影響力を示すものであり、国際的な研究コミュニティにおける彼の評価を確固たるものにしました。彼の研究は、中東史研究に携わる研究者にとって、今もなお重要な参考文献となっています。

その学術への貢献は多岐に渡り、後進の育成にも尽力しました。

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