ティズザロウ

ティズザロウ：アメリカ競馬史に名を刻んだサラブレッド

ティズザロウ (Tiz the Law) は、アメリカ合衆国で生まれ育ったサラブレッド競走馬です。その華麗なる競走馬としてのキャリアは、2歳時から始まりました。2019年、サラトガ競馬場で行われた未勝利戦でデビューし、見事勝利を収めます。続くシャンペンステークスでは、最後の直線で先頭を走るグリーンライトゴーを捉え、後続馬を大きく引き離して圧勝。G1初制覇という輝かしい結果を残しました。しかし、ケンタッキージョッキークラブステークスでは、レース中に不利な展開に見舞われ、3着に終わる悔しさも味わいました。

3歳となった2020年、ティズザロウはさらにその実力を発揮します。ホーリーブルステークスでは、3コーナーから一気に先頭に躍り出て、3馬身差で圧勝。続くフロリダダービーでも、圧倒的な強さで勝利を収めます。この年は新型コロナウイルスの影響により、ケンタッキーダービーとプリークネスステークスが延期。そのため、通常は三冠競走の最後に行われるベルモントステークスが、事実上、クラシック三冠の初戦となりました。距離もダート9ハロンに変更されたこのレースで、ティズザロウは好スタートから3番手を追走。直線で鮮やかに抜け出し、2着馬ドクターポストに3馬身3/4差をつけて快勝しました。これは、ニューヨーク州産馬としては138年ぶりの快挙であり、ティズザロウは歴史に名を残すこととなりました。

ベルモントステークス優勝後、ティズザロウはトラヴァーズステークスにも出走。2着馬カラカロに5馬身半差をつける圧勝劇を見せました。続くケンタッキーダービーでは、17番枠という不利な枠にもかかわらず、圧倒的1番人気に支持されました。しかし、逃げたハスケル招待ステークスの勝ち馬オーセンティックを捉えることができず、2着に敗れました。その後、ブリーダーズカップ・クラシックにも出走しましたが、オーセンティックに敗れ6着に終わりました。

競走馬としての華々しいキャリアを終えたティズザロウは、2021年からアッシュフォードスタッドで種牡馬として新たなスタートを切りました。初年度の種付料は4万ドルとされ、高い期待が寄せられています。また、同年のシーズンオフからは、シャトル種牡馬としてチリでも供用されることになりました。

ティズザロウの血統背景にも注目すべき点があります。半姉にはステークス勝ち馬のオーストラックがおり、母は芝のG2勝ちがあるティズフィズです。母の全兄にはG3勝ち馬のフリーカポコリがおり、さらに遡ると、高祖母のイーヴィルエレンから全米年度代表馬になったフェイヴァリットトリックが出ているなど、優れた血統を受け継いでいます。

ティズザロウは、その圧倒的なスピードと勝負強さで、多くのファンを魅了しました。短いながらも華麗な競走馬生活は、アメリカ競馬史に大きな足跡を残しました。その活躍は、これからも多くの競馬ファンに語り継がれていくでしょう。そして、種牡馬として、将来どんな名馬を輩出するのか、期待が高まります。

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