ティローカラート

ティローカラート王の治世

ティローカラート王は、ラーンナー王朝の第9代王であり、通称ティローク王と呼ばれています。彼はサームファンケーンの6番目の王子として生まれ、即位前は「ターオ・ローク」として知られていました。王位に就く前は、父王に逆らったためにメーホンソーン県に左遷されるという波乱の青春を過ごしました。

王位を巡る争い

ティローカラートは、サームデックヨーイを利用して父から王位を奪い取ります。即位後、彼は兄のターオ・ソーイの離反に直面します。また、ターオ・ソーイはアユタヤの王ボーロマラーチャー（2世）と連携し、1442年に王都を攻撃しましたが、失敗に終わります。その後、ティローカラートは内政の安定を図り、王国の防衛に力を入れました。

1443年にはプレー王国を攻め、国王を降伏させ、その後でナーンのカーオ王国との戦争が発生しますが、1450年頃には平定に成功します。さらに、1451年にはピッサヌロークの国主がアユタヤから離反し、ティローカラートに帰順します。この機に、彼はカムペーンペットやスコータイを攻撃しましたが、アユタヤの軍によって退けられます。

ラーンナーとアユタヤの関係

1460年には、アユタヤから離反したプラヤー・チャリエンがティローカラートと共に攻撃を企図して未遂に終わり、ラーンナーとアユタヤの緊張関係が続きます。1463年、アユタヤのトライローカナート王はピッサヌロークに遷都し、ラーンナーに圧力をかけました。しかし、1475年にはアユタヤとの友好を求める使者を送り、戦争は終息に向かいます。

寺院の建立と仏教文化の発展

ティローカラート王の治世において、仏教文化が花開きました。彼は、ランカウォンのシホン教派を取り入れ、ラムプーンから著名な僧侶を招いて新しい教派を広めました。また、ワット・チェットヨートでは第8回世界結集が行われ、三蔵経が編纂されました。これにより、ラーンナーでも仏教が重要な位置を占めるようになりました。

王は多くの寺院を建立し、特にワット・パーデーンやワット・チェーディールワンが有名です。1468年にはエメラルド仏をラムパーンから運び出し、これをワット・チェーディールワンに安置しました。このように、ティローカラート王の治世はラーンナーにとって最も繁栄した時代となり、彼自身も「プラチャオ」と称され人々に崇められました。

外交と同盟

王は、ベトナムの黎朝皇帝による侵入に対しても果敢に立ち向かい、ラーンサーン王国と強固な同盟を築きました。彼は多くの部族を国内に引き入れ、移住させることで王国の基盤を強化しました。北方の国々に遠征を行い、様々な戦略的な実績を上げました。

ティローカラート王は、その統治を通じて内政を安定させ、仏教文化を花開かせ、ラーンナーの歴史の中で重要な役割を果たしました。彼の治世は王国の発展と繁栄の象徴とされています。

もう一度検索