エメラルド仏

エメラルド仏の概要

エメラルド仏（エメラルドぶつ）は、タイのバンコクに位置するワット・プラケーオ寺院に安置されている仏像であり、玉仏とも呼ばれています。この仏像はタイ語では「プラ・ケーオ」とも呼ばれ、正式名称は「プラ・プッタマハーマニーラッタナパティマーコーンケーオモーラコット」となっています。タイの文化やアイデンティティに深く根ざしており、霊的な力を有すると信じられているため、タイ国内外から多くの参拝者が訪れる聖地となっています。

毎年、タイ国王によって夏・雨季・乾季の始まりに合わせて行われる衣替えの儀式は、この仏像にとって非常に重要な行事です。その際、仏像は美しい衣を身にまとい、国民に神聖さを示します。エメラルド仏に用いられていると一部では言われているエメラルドの素材についてですが、実際にはヒスイで作られているとされています。

エメラルド仏の起源と伝承

エメラルド仏の製作の起源は、仏暦500年に遡るとされています。古代インドのパータリプトラにおいて、劣化しない仏像の創造が試みられました。この制作には、帝釈天インドラや建築神ヴィシュヌが関与しており、天界の宝玉を材料として使用したと言われています。仏像はしばらくマガダ国に安置されていた後、戦乱の影響でスリランカへと移動しました。

その後、スリランカから東南アジアにエメラルド仏が渡ったのは、アリマッダナのアニルッダ王によるとされます。彼はスリランカで完全な三蔵経を求めた際、エメラルド仏も一緒に持ち帰ろうとしましたが、船が難破してエメラルド仏はインダパタナガラ（現在のアンコール・トム）にたどり着くこととなりました。王に脅されたインダパタナガラの王は三蔵経を返還しましたが、エメラルド仏はこの地に留まることになりました。

この地では、国王の息子とバラモンの息子の間の悲劇がその後の事件を引き起こし、最終的にエメラルド仏はアユタヤに移されることとなります。アユタヤを経て、さらなる移動や保護活動が繰り返され、エメラルド仏は歴史の中で多くの転機を迎えました。

仏像発見からの歴史

1434年、ある寺院での落雷によって発見された仏像は、後に漆喰で覆われた中にヒスイの仏像が含まれていることが判明しました。この寺院は、現在のチエンラーイにあるワット・プラケーオであると考えられています。発見後、エメラルド仏はチエンマイに運ばれる計画が進められますが、白象が引く運搬に失敗が続く中、最終的に1468年にティローカラート王によって成功裡に運ばれました。

その後、ラーンナー王国のセーターティラート王の下、エメラルド仏はルアンパバーンやヴィエンチャンにも移動し、最終的に18世紀にバンコクに帰還します。1779年、チャクリー公爵によってバンコクに持ち帰られ、1784年から現在のワット・プラケーオに安置されることとなりました。

ラーマ4世の考察

エメラルド仏の伝承については、ラーマ4世が多くの矛盾や論理的飛躍が存在すると指摘し、実際の歴史的背景は発見以降の記録のみが信頼性があると認めました。これは、仏像そのものの価値を高める結果となり、現在でもタイにおける重要な文化財として君臨しています。エメラルド仏の歴史は、タイの仏教や文化の奥深さを物語っており、その神聖さは今なお多くの人々に感動を与えています。

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