ティンコフ

ティンコフ：栄光と終焉を迎えたロシア籍プロサイクルロードレースチーム

ティンコフ（Tinkoff）は、かつてUCIプロツアーに参戦していたロシア籍の自転車ロードレースチームです。そのルーツは、1996年のツール・ド・フランス覇者であるビャルヌ・リースが所有・運営していた「リース・サイクリング」。1999年のチーム創設以来、数々のスポンサーの支援を受け、ロードレース界で存在感を示しました。

スポンサーシップの変遷

チームは、2001年からアメリカのコンピュータ関連企業であるCSC（Computer Sciences Corporation）の支援を受け、「チームCSC」として知られるようになります。2003年から2008年までCSCが冠スポンサーを務めましたが、同社の長期投資計画の見直しにより、2008年シーズン末でスポンサーを降板。

その後、リース・サイクリングはデンマークの投資銀行サクソバンクとスポンサー契約を締結し、「チームCSCサクソバンク」として活動。2009年からは「チーム・サクソバンク」として、サクソバンクが単独でスポンサーを務めます。2010年には、アメリカのソフトウェア会社サンガードもスポンサーに加わり、「サクソバンク・サンガード・プロフェッショナル・サイクリングチーム」として、アルベルト・コンタドールを獲得しました。

2012年シーズンには、サンガードが撤退したため、再び「チーム・サクソバンク」として活動を再開。同年、宮澤崇史が加入し、日本人選手として3人目のUCIプロチーム在籍選手となりました。同年6月には、ロシアの投資銀行ティンコフバンクがサブスポンサーとなり、「チーム・サクソバンク-ティンコフバンク」にチーム名を変更します。

2014年、ロシアの実業家オレグ・ティンコフがチームを買収し、「ティンコフ＝サクソ」に改称。ティンコフクレジットシステム社がメインスポンサー、サクソバンク社がセカンドスポンサーとなりました。2016年にはサクソバンクがスポンサーから撤退し、チーム名は「ティンコフ」となりますが、同年限りで解散しました。

チームの輝かしい成績

ティンコフは、UCIプロツアーにおいて2年連続でチーム総合優勝を果たすなど、そのチーム力の高さを証明しました。2006年には、イヴァン・バッソを擁してジロ・デ・イタリアを制覇。また、ファビアン・カンチェラーラやアンディ・シュレクなど、数々の名選手を輩出しました。

2008年のツール・ド・フランスでは、カルロス・サストレが個人総合優勝、アンディ・シュレクが新人賞を獲得し、チームとしても総合優勝を飾るという偉業を達成しています。

主な実績

ティンコフは、数々の主要レースで勝利を収めています。以下に主な実績をまとめました。

2001年：ツール・ド・フランス区間優勝（ローラン・ジャラベール）、クラシカ・サン・セバスティアン優勝（ローラン・ジャラベール）
2006年：ジロ・デ・イタリア総合優勝（イヴァン・バッソ）、パリ〜ルーベ優勝（ファビアン・カンチェラーラ）
2008年：ツール・ド・フランス総合優勝（カルロス・サストレ）、ミラノ〜サンレモ優勝（ファビアン・カンチェラーラ）
2009年：リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ優勝（アンディ・シュレク）
2010年：ロンド・ファン・フラーンデレン優勝（ファビアン・カンチェラーラ）、ツール・ド・フランス総合優勝（アンディ・シュレク、繰り上げ）
2015年：ジロ・デ・イタリア総合優勝（アルベルト・コンタドール）
* 2016年：ロンド・ファン・フラーンデレン優勝（ペーター・サガン）

解散とその後

2016年シーズンをもって解散したティンコフですが、その記憶は多くのロードレースファンに刻まれています。チームに所属した選手たちは、その後もそれぞれの道で活躍を続け、ロードレース界に貢献しています。

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