ティンチョー

ティンチョー（Htin Kyaw）は、1946年7月20日にイギリス統治下のラングーンで生まれました。彼の父は著名な詩人であり、自身も教育熱心な家庭で育ちました。

彼は、アウンサンスーチー氏とは旧知の仲であり、メソジスト英語学校時代からの同級生でした。その後、ラングーン大学に進学し、経済学の修士号を取得しました。さらに、コンピューター科学にも興味を持ち、ロンドン大学への留学経験も持っています。

大学卒業後は、教員やプログラマー、システムアナリストとして勤務し、1970年代には東京での研修にも参加しました。その後、ミャンマー政府の要職を歴任し、官僚としてのキャリアを積みました。

1992年に退官後、彼はアウンサンスーチー氏が率いる国民民主連盟（NLD）に入党しました。スーチー氏の自宅軟禁中は、外部との連絡役を務め、彼女の生活を支え続けました。2000年には、スーチー氏の移動を幇助したとして逮捕され、一時的に刑務所に収監されました。その後、スーチー氏が設立したドーキンチー財団の運営を支援し、慈善活動にも尽力しました。

2015年、NLDが総選挙で勝利すると、ティンチョーは大統領候補として擁立されました。しかし、憲法の規定により、外国籍の家族を持つアウンサンスーチー氏が大統領になることはできませんでした。そこで、NLDはスーチー氏の代理としてティンチョーを大統領候補に指名しました。

2016年3月15日、ティンチョーはミャンマーの大統領に選出され、3月30日に正式に就任しました。彼は、スーチー氏が新設した国家顧問の職に就き、政権運営を実質的に主導する体制が築かれる中で、大統領としての役割を担いました。しかし、健康上の問題から2018年3月21日に大統領を辞任しました。

ティンチョーは、アウンサンスーチー氏の長年の信頼できる側近であり、ミャンマーの民主化に大きく貢献した人物として記憶されています。彼の著書には、父の生涯を綴った『The Father's Life: Glimpses of my Father』があります。彼の妻、Su Su Lwinは、NLDの下院議員として活躍しています。

ティンチョーの政治キャリアは、アウンサンスーチー氏との深い絆に支えられており、ミャンマーの歴史における重要な転換期を支えた人物として、今後も語り継がれることでしょう。

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