テオドール・モムゼン

テオドール・モムゼン

テオドール・モムゼン（1817年11月30日 - 1903年11月1日）は、ドイツの著名な歴史家であり、法学者、政治家です。彼は19世紀を代表する知識人の一人であり、特に古代ローマ史に関する業績で知られています。彼の著作や研究は、歴史学において今なお高く評価されています。

経歴

モムゼンは、当時デンマークに属していたシュレースヴィヒに生まれました。父親はプロテスタントの牧師であり、彼は1838年からの5年間、キール大学で法律と言語学を学びました。1843年、彼はローマ法に関する博士号を取得しました。その後、1844年から1846年までデンマーク政府の支援を受けてフランスやイタリアを旅行しました。この経験は、彼の歴史研究に多大な影響を与えました。

1848年にフランスで起きた革命に参加しましたが、翌1851年には教授職を解任され、国外に脱出しました。1852年、スイスのチューリッヒ大学でローマ法の教授としての職に就き、次いでブレスラウ大学、ベルリン大学でも教鞭を取りました。1853年にはプロイセン科学アカデミーの通信会員に選ばれ、1858年には正式会員となりました。1902年には歴史家として初の文筆によるノーベル文学賞を受賞しました。

政治活動

1848年の革命はモムゼンに大きな影響を及ぼしました。彼は1861年にドイツ進歩党に入党し、プロイセンの下院議員として活躍しました。彼はビスマルクの政権に対抗し、憲法を守ることを党の基本方針に掲げました。1866年に進歩党が分裂した後も、彼は国民自由党や自由主義連合に参加し、ビスマルクの政策を批判しました。

特に、ハインリヒ・フォン・トライチュケの反ユダヤ主義に対しては強い反対を表明し、自由の原則を守る姿勢を貫きました。彼はまた、学問や芸術への国家介入に反対し、老年期には「ゲーテ同盟」を設立してドイツ文化の保護に尽力しました。

業績と批判

モムゼンの功績は、以下の3つに大別されます。
1. 『ローマ史』の執筆
2. 『ラテン碑文集成』の編纂事業の開始（1854年から現在も続く）
3. 『ローマの国法』および『ローマの刑法』の研究

彼の『ローマ史』は、エドワード・ギボンの『ローマ帝国衰亡史』と並ぶ重要な歴史文学として評価され、文学的価値と現代の研究においても基本的な重要性を持っています。特に、古代の資料を活用して伝統的な歴史学を革新した点が高く評価されています。しかし、一方で彼は考古学的証言の重要性を軽視し、また、叙述において現在の言葉で古代を表現したため、批判の的になることもありました。

人物

1854年、モムゼンは彼の初恋であるマリー・ライマーと結婚し、15人の子どもを授かりましたが、多くは早世しました。彼の生活は、細身で鋭い顔立ち、水色の目、灰色の長髪が印象的で、本を愛する彼は常に読書をして過ごしました。1903年の秋、脳卒中で亡くなるまで彼は学問に尽力し、追悼式では多くの人々から惜しまれました。

著作

モムゼンの著作には、『ローマ貨幣史』や『ローマ史』シリーズの他に、さまざまな学術論文や著作があり、これらは彼の業績の重要な部分を形成しています。彼の研究は、現代の古代史研究においても多くの影響を与え続けています。

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