テキサス共和国海軍艦艇一覧

テキサス共和国は、1836年から1846年まで北米に存在した短命な独立国家でした。メキシコからの独立を維持し、その沿岸や海上交易路を守るため、独自の海軍力を整備しました。本稿では、そのテキサス共和国海軍が保有した、あるいは計画された歴代艦艇を紹介します。完成艦、未完成艦、計画艦を含む一覧です。

テキサス共和国海軍の艦艇は、その時代の技術レベルを反映し、主に帆船で構成されていましたが、初期の蒸気船も導入されました。艦種別に見ると、以下のような艦艇が確認できます。

ブリッグ (Brig)

2本のマストを持つ帆走戦闘艦で、機動力に優れ、様々な任務に投入されました。

- コロラド（Colorado）：1838年の記録に登場。18門の砲を搭載していました。
- ガルベストン（Galveston）：こちらも1838年の艦で、コロラドと同様に18門の砲を備えていました。
- ポトマック（Potomac）：1838年に存在が確認されていますが、搭載されていた砲の門数は不明です。

スループ (Sloop-of-War)

比較的大型の帆走戦闘艦で、しばしば艦隊の中核を担いました。テキサス共和国海軍で最も強力な艦の一つでした。

- オースチン（Austin）：1840年に就役したこの艦は、18門もの砲を搭載しており、その火力はテキサス海軍の主要な戦力となりました。

スクーナー (Schooner)

2本以上のマストを持ち、主に縦帆で航行する高速船。偵察、連絡、輸送、軽武装での哨戒などに広く用いられました。テキサス共和国海軍は多数のスクーナーを運用していました。

- ブルータス（Brutus）：1836年から活動した記録があり、10門の砲を備えていました。
- インディペンデンス（Independence）：1836年に就役。9門の砲を搭載していました。
- インヴィンシブル（Invincible）：これも1836年の艦で、7門の砲を有していました。
- リバティ（Liberty）：1836年に海軍に加わったとされ、6門の砲を装備していました。
- サンアントニオ（San Antonio）：1839年の艦で、6門の砲を搭載していました。
- サンバーナード（San Bernard）：サンアントニオと同時期の1839年の記録があり、こちらも6門の砲を備えていました。
- サンジャシント（San Jacinto）：1839年の艦で、5門の砲を搭載していました。

蒸気船 (Steamship)

帆船が主体でしたが、初期の蒸気船も導入されました。

- ザヴァラ（Zavala）：1839年に記録されているこの艦は、5門の砲を搭載した蒸気船でした。これはテキサス海軍が新しい技術を取り入れようとしていたことを示しています。

このリストについて

これらの艦艇は、短命だったテキサス共和国が独立を維持しようとした歴史を物語るものです。完成して実戦に参加した艦もあれば、記録のみが残る艦もあり、テキサス海軍の歴史を包括的に理解する上で役立ちます。これらの情報は、信頼できる海事史の文献、例えば「世界の艦船」や「The Sailing Navy 1775-1854」などを典拠としています。テキサス共和国海軍の活動は、アメリカ合衆国への併合という歴史的転換点に至るまでの、テキサスの独立維持に向けた努力の一端を彩ります。アメリカ合衆国やその各州の海軍艦艇リストと併せて参照することで、19世紀半ばの北米における海上勢力の状況をより立体的に把握することができるでしょう。この一覧は、歴史研究や軍事史に関心を持つ人々にとって、テキサス共和国の短いながらも波乱に満ちた海の歴史を探求する上で貴重な手がかりとなります。

もう一度検索