テクノパーク・なら

テクノパーク・なら：地方創生を担う工業団地

テクノパーク・ならは、奈良県五條市住川町の東部に位置する工業団地です。古くから木材加工業が盛んだった五條市ですが、時代の流れとともに木材工場が減少。それに伴い若者層の流出が進み、人口減少という課題に直面していました。この状況を打破するため、第三次全国総合開発計画に基づく南和モデル定住圏計画の一環として、地元雇用創出と地場産業の復興、そして県工業全体のレベルアップを目指した工業団地の建設が計画されました。

開発の背景：人口減少と地域経済の活性化

五條市の歴史は、吉野山地の豊富な木材資源と深く結びついています。しかし、時代の変化に伴い、木材加工業は衰退。若い世代は、より多くの仕事を求めて大阪府や奈良県の北部へ移住し、五條市の人口は減少の一途を辿っていました。この人口減少は、地域経済の停滞にも繋がり、深刻な社会問題となっていました。テクノパーク・ならの開発は、こうした問題解決に向けた、五條市の強い意志の表れと言えるでしょう。

立地と環境：温暖な気候と交通アクセス

テクノパーク・ならは、古くから「阿田峯」と呼ばれていた高原地帯に建設されました。かつて牧場や畑、果樹園が広がり、戦時中には飛行場予定地にも選ばれたほどの広大な土地です。住川町は温暖な気候に恵まれ、積雪もほとんどないため、工業団地としての立地条件は非常に優れています。関西国際空港へのアクセスも良いことから、物流面でも有利な条件が揃っています。

インテリジェントな設計：情報化社会への対応

テクノパーク・ならは、単なる工業団地にとどまりません。若者の定住促進と産業技術の高度化・情報化に対応するため、インテリジェントな設計が施されています。1987年には通商産業省（当時）のニューメディア・コミュニティ構想の応用発展地域に指定され、団地内には光ファイバーケーブルが敷設されました。さらに、奈良県内の企業や自治体を対象とした地域情報化推進拠点として、第三セクターの「なら情報サービス」も設立されました。これらの取り組みは、情報化社会に対応した先進的な工業団地を目指した、五條市の積極的な姿勢を示しています。

公園と地域住民との共存：阿田峯公園

テクノパーク・なら内には、五條市が管理する阿田峯公園も整備されています。ナイター設備付きのテニスコートや多目的グランド、体育館、遊具広場など、充実した施設が揃っており、工業団地の従業員だけでなく、地域住民も利用できるようになっています。この公園の存在は、工業団地と地域社会との共存、そして地域住民との一体感を醸成するための重要な要素となっています。

進出企業：多様な産業が集積

テクノパーク・ならには、様々な業種の企業が進出しています。（株）エフ・エー・テック、大峰堂薬品工業（株）、（株）柿の葉すし本舗たなかなど、多様な企業が集積することで、地域経済の活性化に大きく貢献しています。これらの企業の存在は、テクノパーク・ならが、単なる工業団地を超えた、地域社会の活性化を担う拠点となっていることを示しています。

交通アクセス：良好なアクセス環境

テクノパーク・ならは、JR和歌山線北宇智駅、近鉄御所線御所駅、近鉄吉野線福神駅など、複数の鉄道駅からもアクセス可能です。また、国道24号、国道310号、奈良県道30号御所香芝線、京奈和自動車道五條北IC、西名阪自動車道柏原IC、南阪奈道路葛城IC、名阪国道法隆寺ICなど、道路網も整備されており、交通アクセスは非常に良好です。

まとめ：持続可能な地域社会への貢献

テクノパーク・ならは、単なる工業団地ではなく、人口減少に悩む地方都市の活性化モデルとして、その意義を強く持っています。情報化への対応、地域住民との共存、そして良好な交通アクセスなど、様々な要素が調和して、持続可能な地域社会の実現に貢献しています。これからもテクノパーク・ならは、五條市の発展、ひいては奈良県の発展に貢献していくことでしょう。

もう一度検索