テクラ・レスヴォール

テクラ・レスヴォール：ノルウェー植物学の先駆者

テクラ・レスヴォール（Thekla Susanne Ragnhild Resvoll, 1871年5月22日 - 1948年6月14日）は、ノルウェーの植物学者であり、妹のハンナ・レスヴォール＝ホルムセンと共に、ノルウェーにおける女性科学者、そして自然保護運動のパイオニアとして名を残しています。

生涯と研究

1871年、ヴォーゴーで生まれたテクラは、1892年に大学を卒業後、ストックホルムで家政婦として働きます。その後、1895年に鉱山技師のアンドレアス・ホルムセンと結婚。妹のハンナもホルムセンの兄弟と結婚し、姉妹揃って植物学者として活躍することになります。オスロ大学でアクセル・グドブラン・ブリュットのもとで植物学を学び、1899年に卒業しました。

1897年、テクラはノルウェーの高地レーロースで、シベリアや北アメリカにしか生息しないと考えられていたキク科の植物、Eurybia sibiricaを発見。この発見をきっかけに、高山植物や植物の寒冷への適応がレスヴォールの主要な研究テーマとなりました。彼女はコペンハーゲン大学のオイゲン・ワルミング、ミュンヘンのカール・ゲーベル、スイスのカール・シュレーターといった著名な植物学者のもとで学び、知識を深めました。

1902年から1936年まで、オスロ大学の准教授として教鞭を執り、後進の育成に尽力。1917年には、環境に対する適応の研究で博士号を取得しました。その功績が認められ、1923年にはノルウェー科学文学アカデミーの会員に選出。これは女性としては3人目の快挙でした。1924年にはKongsvoll駅近くに植物園を作り、1923年から1924年の間には、ジャワ島とボゴール植物園を訪れ、ブナ科の植物に関する研究を行いました。

社会活動

テクラは研究活動だけでなく、ノルウェーの女性平等運動にも積極的に参加しました。ノルウェー女子学生クラブの会長を務め、女性参政権をめざす委員会（Kvinnestemmeretsforeningen）のメンバーとして活動するなど、女性の地位向上に貢献しました。

主な研究論文

Resvoll, T. R., 1900. Nogle arktiske ranunklers morfologi og anatomi. Nyt Magazin for Naturvidenskaberne, 38: 343-367.
Resvoll, T. R., 1903. Den nye Vegetation paa Lerfaldet i Værdalen. Nyt Magazin for Naturvidenskaberne, 41.
Resvoll, T. R., 1906. Pflanzenbiologische Beobachtungen aus dem Flugsandgebiet bei Röros im inneren Norwegen. Nyt Magazin for Naturvidenskaberne, 44.
Resvoll, T. R., 1917. Om planter som passer til kort og kold sommer. Doctoral thesis, Oslo.
Resvoll, T. R., 1925. Rubus chamaemorus L. A morphological - biological study. Nytt Magasin for Naturvidenskapene, 67: 55-129.
Resvoll, T. R., 1925. Rubus chamaemorus L. Die geographische Verbreitung der Pflanze und ihre Verbreitungsmittel. Veröffentlichungen des Geobotanischen Institutes Rübel in Zürich, 3: 224-241.
Resvoll, T. R., 1925. Beschuppte Laubknospen in den immerfeuchten Tropenwäldern Javas. Jena.

参考文献

Obituary by Høeg, O.A. in Blyttia 6: 57-61 (1948).
Eckblad, F.-E. (1991) Thekla Resvoll og Hanna Resvoll-Holmsen, to glemte? Pionerer i norsk botanikk. Blyttia 49: 3-10.
Biography by Inger Nordal & Bredo Berntsen in Norsk biografisk leksikon, Oslo: Kunnskapsforlaget (1999-2005)

テクラ・レスヴォールは、植物学者としてだけでなく、女性の権利擁護者としても、その名を歴史に刻んでいます。

もう一度検索