テザー (暗号通貨)

テザー（Tether）の概要

テザー（Tether）は、2015年2月にTether社によって発行された暗号通貨で、その価値は米ドルに固定されています。単位はUSDTで、暗号通貨市場において重要な役割を果たしています。2018年2月には時価総額が24.6億ドルを超え、暗号通貨としては世界17位に位置付けられました。テザーはその安定した価値を保持することから、特に取引所での取引や価値の保管手段として利用されています。

さらに、テザーにはユーロにペッグしたユーロ・テザー（EURT）も存在しますが、米ドルにペッグしたテザーが圧倒的に利用されているのが現実です。テザーは供給量が一定でない一般的な暗号通貨とは異なり、常に1USDT＝1米ドルの価値を持つことを基本方針としています。これは、米ドルと等価交換できるため、暗号通貨の利用者にとって安定した取引手段となります。

発行と信頼性について

テザーは、発行される全てのUSDTに対して同額の米ドルをTether社が準備金として保持することから、古典的なカレンシーボード制を採用しています。この仕組みにより、ユーザーはテザーをいつでも米ドルに引き換え可能であり、これがテザーの信頼性を高めているとされています。しかし、実際に米ドルの裏付けがどの程度確認されているかについてはさまざまな意見があります。特に、外部からの監査が常に求められていますが、過去に数回監査が中止され、その信頼性が疑問視されることもあります。

テザーの使用用途

テザーは単なる取引手段にとどまらず、価値を保全するための手段としても利用されています。そのため、多くの企業や店舗でも受け入れられ、顧客は相場変動の影響を受けずに安定した価値で取引できるのが大きな特徴です。テザーのブロックチェーン技術も魅力で、最初はビットコインのブロックチェーン基盤で発行され、その後、ライトコインやイーサリアムのブロックチェーンを活用するようになりました。

法的位置づけと規制

テザーは法的には法定通貨ではなく、金融商品とも見なされていません。保有することは契約上の権利をもたらすものではなく、損失を保障するものでもありません。Tether社は、暗号通貨が法的に認められていない地域での営業を行っておらず、銀行としての機能も果たしていません。これにより、法定預金保険の適用も受けないため、テザーを使用する際には一定のリスクを理解しておく必要があります。また、テザーによる取引は、一般的な銀行基準に従ったコンプライアンスを満たしていないとの指摘もあります。

Tether社の運営と盗難事件

Tether社は2015年に設立され、CEOはジャン・リュードヴァイカス・ヴァン・デァ・ヴェルデ氏です。彼らのオフィスは香港と米国にありますが、2017年11月には3100万ドル分のテザーが不正に盗まれる事件が発生しました。これに対処するため、Tether社は緊急のハードフォークを行い、盗まれたトークンの取引を無効にしました。この事件はテザーにとって大きな試練でしたが、その後限定的なウォレットサービスの再開を発表しています。

テザーの信頼性についての疑問

Tether社はテザーの発行の際に、多額の準備金を保有していると謳っていますが、その透明性には疑問が残ります。外部監査の結果が公開されない限り、その真偽は分かりません。また、テザーが大量に発行された場合、Bitfinexとの関係から暗号通貨市場に影響を与える可能性も指摘されており、その信頼性の判断は利用者に委ねられています。

まとめ

テザーはその安定した価値保持機能により、暗号通貨市場での重要な役割を果たしていますが、透明性や取引の安全性に関しては今後も注意が必要です。これからの動向や法制度の変化にも目を光らせることが求められます。

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