テスト・パイロット (映画)

『テスト・パイロット』(1938年)は、ハリウッド黄金期を代表する名作の一つであり、空を舞台にしたドラマです。監督はヴィクター・フレミング、主演はクラーク・ゲーブル、マーナ・ロイ、スペンサー・トレイシーという豪華な顔ぶれが魅力です。

物語の中心となるのは、テストパイロットとして働くジム・レインです。彼は、危険な飛行テストを繰り返しながらも、パイロットとしての誇りと情熱を燃やしています。ゲーブルが演じるジムは、勇敢で腕も確かですが、同時に内面に葛藤を抱える複雑な人物像として描かれています。彼の周囲には、魅力的な女性アン・バートン（マーナ・ロイ）や、親友でありライバルでもあるガンナー・モリス（スペンサー・トレイシー）など、個性豊かなキャラクターたちが集います。

マーナ・ロイ演じるアンは、ジムに惹かれながらも、彼の危険な仕事に不安を抱いています。二人のロマンスは、ジムの仕事と生活、そして友情との間で揺れ動く、繊細な感情を描写しています。一方、スペンサー・トレイシー演じるガンナーは、ジムと互いに尊敬しあいながらも、時に競争心を燃やす複雑な関係にあります。二人の友情と競争は、物語に緊張感と深みを与えています。

本作の見どころは、何と言っても迫力満点の飛行シーンです。当時の技術を駆使した空撮は、観客を空へと誘い込みます。高度な飛行技術や、飛行機の性能を効果的に見せながら、危険と隣り合わせのパイロットたちの仕事ぶりがリアルに描かれています。また、地上での人間ドラマも丁寧に描かれており、登場人物たちの感情や葛藤、愛憎劇が見事に表現されています。

豪華なキャスト陣に加え、スタッフ陣もハリウッドを代表する才能が集結しています。製作はルイス・D・ライトン、脚本はヴィンセント・ローレンス、ウォルデマー・ヤング、さらに、クレジットされていないもののハワード・ホークスも参加していました。音楽はフランツ・ワックスマン、撮影はレイ・ジューン、美術はセドリック・ギボンズとジョン・S・デストリーなど、名だたるスタッフが作品を支えています。

『テスト・パイロット』は、アカデミー賞において作品賞、原案賞（フランク・ウィード）、編集賞（トム・ヘルド）の3部門でノミネートされました。これは、作品の高い評価を示すものであり、ハリウッド黄金期の傑作として高い評価を受けていることの証左です。

本作品は、単なる空を舞台としたアクション映画ではなく、人間ドラマと飛行シーンが絶妙に融合した作品です。パイロットたちの仕事への情熱、愛と友情、そして葛藤など、人間の本質を問いかける深い内容が、現代においても観客を魅了し続ける理由でしょう。クラーク・ゲーブル、マーナ・ロイ、スペンサー・トレイシーという豪華キャストの演技、そして、当時としては画期的な飛行シーンの数々は、必見の価値があります。

もう一度検索