テスラ・ロードスター

テスラ・ロードスター

テスラ・ロードスターは、アメリカの電気自動車メーカー、テスラ社が製造したスポーツカー型の電気自動車です。2006年7月、カリフォルニアのサンタモニカ空港で初めてプロトタイプが公開され、その後のモーターショーでも多くの反響を呼びました。開発の初期段階では、ロータス・エリーゼのプラットフォームを基に、様々な改良を加えたプロトタイプが幾度も作られました。

プロトタイプと市販化

2006年から2007年にかけて、合計で10台の初期プロトタイプ（EP1〜EP10）が製作され、その後さらに26台の「バリデーションプロトタイプ（VP）」が耐久試験や衝突試験を経て製作されました。市販化が計画されていた2007年には、納車が1ヶ月遅れ、最初のロードスターは2008年3月に顧客に届けられました。発売前から高い関心を集め、98,000ドルという価格にもかかわらず、飛ぶように売れましたが、技術的な課題が多数存在しました。

著名人も多く購入しており、レオナルド・ディカプリオやジョージ・クルーニーといったセレブリティたちがその魅力の虜になりました。さらに2010年からは右ハンドル仕様の生産も始まり、日本市場にも進出しました。

独自のデザインとメカニズム

ロードスターは、2シーターのオープンカーとして設計され、CFRP（炭素繊維強化プラスチック）を用いた軽量のボディが特徴的です。シャシーの開発には英ロータスが協力し、いくつかの部品は彼らのエリーゼから流用されています。電動モーターは三相交流四極誘導モーターを用い、リチウムイオンバッテリーから電力を供給します。これにより、最高出力は288馬力、最大トルク370N・mに達し、加速性能も優れています。

0-60マイル（約96km/h）加速は3.9秒を記録し、最高速度は時速201kmに制限されています。バッテリーは18650タイプのリチウムイオン電池を6,831個搭載し、容量は約53kWhと大きく、競合他社と比較しても高いエネルギー密度を誇ります。

充電とバッテリー寿命

充電の方法も多岐にわたります。急速充電器を用いれば、4〜6時間で充電が可能です。また、様々な電圧に対応し、最適な充電器を使用して各地で手軽に充電できるよう配慮されています。テスラは、航続距離の延長と充電のしやすさを両立させる工夫もしており、バッテリーの寿命は約7年または10万マイルと想定されています。

日本への導入と宇宙へ

2009年12月には、オークションで初のロードスターが日本に輸入され、注目を集めました。2010年4月21日には正式な日本での販売が発表され、特別仕様モデルが公開されました。価格は1810万円と高めですが、日本市場にも適応した設計が施されています。

また、驚くべきことに、テスラのCEOであるイーロン・マスクは、自身の愛車のロードスターをスペースXのロケットに搭載し、宇宙へと旅立たせるという異例の試みも行いました。その結果、ロードスターは宇宙を巡る人工衛星となり、記録を残しました。

テスラ・ロードスターは、単なるスポーツカーに留まらず、電気自動車の未来を象徴する存在として多くの人々に影響を与え続けています。そして、その誕生と展開により、電気自動車は新たな時代の幕開けを迎えつつあります。

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