テッラヌオーヴァの聖母

『テッラヌオーヴァの聖母』

『テッラヌオーヴァの聖母』は、イタリアのルネサンス時代における芸術家ラファエロ・サンツィオが1505年頃に製作した油彩画です。この作品は聖母マリアと幼いキリスト、洗礼者ヨハネと幼い聖人が描かれており、現在、ドイツのベルリンにある絵画館に収蔵されています。これはラファエロの初期の作品の一つとして、高い評価を受けています。

作品の内容

絵画は聖母マリアが幼いキリストを抱いて、手すりの壁の前に静かに座っている構図です。聖母の左右には洗礼者ヨハネと幼い聖人が立ち、彼らは聖母子を見上げています。ヨハネは特徴的なラクダの毛皮を身にまとい、手には細長い十字架を持っている姿が印象的です。幼いキリストは右側に足を伸ばし、聖母の腕に寄りかかりながら、ヨハネに向けて「アニュス・デイ」と記された紙片を見せています。この紙片は神の子羊を意味しています。また、右側に立つ幼い聖人は伝統的にキリストの従兄弟とされる聖ヤコブである可能性があります。

この作品は、ラファエロがトンド形式で描いた初期の絵画の一つであり、フィレンツェ時代の1505年頃に製作されたとされています。そのスタイルはパラティーナ美術館の『大公の聖母』と似た特徴を示しています。

構図の特徴

構図に関しては、リール宮殿美術館に所蔵されているラファエロの初期の素描に基づいています。この素描には聖母子と幼児の洗礼者ヨハネに加え、聖母の両側に天使と聖ヨセフが描かれていますが、素描は背景に空間が不足していました。素描は後に上下が切り落とされて半円形になりました。

比較してみると、本作品では聖母のポーズが変わっており、右手のみで幼児キリストを保持し、左手は開かれた形になっています。この構図は15世紀後半のウンブリア地方の伝統的な型に基づき、ピラミッド型の形状を作り出しています。聖母と幼児の薬指にヨハネを配置することで、画面がバランスよく配置されています。

影響と技法

本作品にはレオナルド・ダ・ヴィンチからの影響が見受けられ、特に柔らかなスフマートや生理的な動作がその特徴です。特に、聖母の左手のポーズは優雅であり、科学的調査によるとこの要素は後に変更されたことが明らかになっています。赤外線リフレクトグラフィーの調査では、初期の段階では聖母の手が幼児の足を支える形になっていたことが示されています。

来歴

本作品の来歴ははっきりしていませんが、ジョルジョ・ヴァザーリによる記録が残されています。彼は有名な商人タッデオ・タッデイのために制作された絵画の一つとして言及しています。作品の名前は、所有していたテッラヌオーヴァ公爵家にちなんで名付けられました。1845年にはプロイセン国王フリードリヒ・ヴィルヘルム4世によって購入され、さまざまな聖母画と共にベルリンの絵画館に収蔵されています。

ギャラリー

この絵画はラファエロの他の聖母画とともに、絵画館で観覧することができます。彼の作品は時代を超え、多くの人々に感銘を与えています。

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