テトラカイン

テトラカインとは

テトラカイン（tetracaine）は、エステル型に分類される局所麻酔薬の一つであり、その商品名はテトカインです。この薬剤は強力な麻酔作用を持っていますが、その反面、副作用も比較的強いため、使用目的は限られています。主に脊髄くも膜下麻酔に利用され、短時間の眼科や耳鼻科の処置においても有効とされています。

薬理作用

テトラカインの作用は、ナトリウムイオンが神経細胞に流入するのを阻害することによって展開されます。具体的には、Na+チャネルの開口部に入り込み、ナトリウムの透過を妨げることで活動電位の振幅と伝導速度を低下させます。この特性により、局所的な麻酔効果が生じ、痛みの感覚を抑えることができます。

テトラカインは粉末状で提供され、5%の糖液を溶媒とすることで高比重液、蒸留水を溶媒とすることで低比重液を作成可能です。この特性は、脊髄くも膜下麻酔時における薬剤の広がりを調節しやすくするため、臨床での利用において便利です。しかし、近年では、その後に加入されたブピバカインが作用時間が長いため、麻酔科医にとってより好まれる選択肢となっています。

歴史と現状

テトラカインは2000年にブピバカインが脊髄くも膜下麻酔として承認されるまでは、日本での脊髄くも膜下麻酔の主力薬剤でした。しかし、2023年5月には日本における製造販売中止が報告され、2024年3月には流通在庫が尽きる見込みです。今後は、新薬が登場しない限り、日本での脊髄くも膜下麻酔においてはブピバカインの一択となるでしょう。

最近では、リドカインとの配合剤が美容整形の領域において、その効果の有用性が報告されています。このような新たな応用により、テトラカインの価値が見直される可能性もあります。

注意点

テトラカインを使用する際にはいくつかの注意が必要です。プロカインやリドカインと比べて、作用が長く、さらに毒性が強い点が挙げられます。そのため、通常の局所麻酔に関してはリドカインがよく選ばれています。また、脂質に対する溶解性が高く、作用時間が長いことから、大量に使用するべきではありません。さらに、アナフィラキシーを起こすリスクもあるため、患者の状態を十分に確認し、適切に注意を払うことが重要です。

脚注

参考文献としてアメリカ国立生物工学情報センター（NCBI）からの詳細な文献もあり、興味のある方はぜひ確認してみてください。

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