リドカイン

リドカインについて

リドカインは、アミド型の局所麻酔薬であり、抗不整脈としても用いられる薬剤です。一般名はリグノカイン、商品名としてはキシロカインなどがあり、静脈投与が可能な数少ない局所麻酔薬のひとつです。局所麻酔作用は急速に発現し、数分で効果が現れ、持続時間はおおよそ30分から3時間程度です。さらに、少量のアドレナリンを混合することで、麻酔効果を長持ちさせ、血液の流れを抑制することが可能です。

主な適応

リドカインは、外科手術や内視鏡検査、歯科治療において非常に重要な役割を果たしています。特に、浸潤麻酔や神経ブロック、表面麻酔として、さまざまな手技に利用されます。歯科領域では最も多く使われる麻酔薬として知られ、リドカインの点眼剤は眼科手術にも使用されることがあります。

さらに、帯状疱疹後神経痛の軽減のための経皮吸収パッチがアメリカで承認され、神経の圧迫によって引き起こされる痛みの緩和など、用途は多岐にわたります。

抗不整脈作用

リドカインは、心室性不整脈の治療においても使用されます。この薬物はナトリウムチャネルを遮断し、心臓の収縮速度を低下させることにより、心筋の過剰な活動を抑える役割を持っています。特に、アミオダロンが使用できない場合にリドカイン療法が行われることがあります。

副作用と注意事項

リドカインは正常に使用された場合、比較的安全ですが、過剰投与や不適切な投与方法によって重篤な副作用が起こる可能性があるため、十分な注意が必要です。中枢神経系や心血管系に悪影響を与える可能性があり、低血圧や痙攣などの症状が出ることがあります。

特に、静脈内投与の際は慎重な観察が求められ、過剰投与は生命に危険を及ぼすこともあります。また、妊娠中の使用は一般的に安全とされていますが、肝機能障害を持つ患者には注意が必要です。

相互作用と禁忌

リドカインは他の薬剤との相互作用があり、特にCYP代謝酵素に影響を与える薬物との併用は注意を要します。ドロネダロンやモルヒネリポソームとの併用が禁忌とされています。また第2度または第3度の房室ブロックを持つ患者には避けるべきです。

歴史と社会的背景

リドカインは1943年にスウェーデンで最初に合成され、1948年に商業化されました。以来、局所麻酔薬や抗不整脈薬として広く使用されてきました。世界保健機関（WHO）の必須医薬品リストにも掲載されており、その重要性が窺えます。

近年、薬剤の多様な用途や薬理作用が再評価され、リドカインは多くの医療現場で必要不可欠な存在となっています。リドカインの用途が拡充する中、今後の研究と使用法の確立が期待されています。

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