テトラクロリド白金(II)酸カリウム

テトラクロリド[白金]酸カリウム

テトラクロリド[白金]酸カリウム (K₂PtCl₄]) は、白金]イオンを有する重要な[無機化合物です。多くの白金][[錯体の合成における出発物質として用いられており、化学研究において広く利用されています。

性質

この化合物は、赤褐色の柱状結晶として存在します。水には溶解しますが、エタノールにはほとんど溶けません。興味深いことに、エタノールと長時間接触させると、光の影響により還元反応を起こし、黒色の白金微粉末を生成することが知られています。この性質は、取り扱いにおける注意点として認識しておく必要があります。

磁気的性質としては反磁性を示し、室温における磁化率はχg = −3.50 × 10⁻⁷ cm³g⁻¹と報告されています。

合成法

テトラクロリド[白金]酸カリウムは、いくつかの方法で合成できます。

ヘキサクロリド[白金]酸カリウムからの合成

ヘキサクロリド[白金]酸カリウム (K₂PtCl₆]) をシュウ酸カリウム (K₂C₂O₄) と水溶液中で加熱することにより還元できます。この反応では、シュウ酸カリウムが還元剤として働き、二酸化炭素 (CO₂) と塩化カリウム (KCl) が副生成物として生じます。その後、塩酸を加えることでテトラクロリド[[白金]酸カリウムが析出します。反応式は以下の通りです。

K₂[PtCl₆] + K₂C₂O₄ → K₂[PtCl₄] + 2CO₂ + 2KCl

二塩化ヒドラジニウムを用いる還元

ヘキサクロリド[白金]酸カリウムを、二塩化ヒドラジニウム (N₂H₆Cl₂) を用いて還元する方法も知られています。この反応では、窒素ガス (N₂) と塩化水素 (HCl) が副生成物として生じます。反応式は次の通りです。

2K₂[PtCl₆] + N₂H₆Cl₂ → 2K₂[PtCl₄] + N₂ + 6HCl

反応

テトラクロリド[白金]酸カリウムは、アンモニアと反応して配位子置換反応を起こします。この反応は、段階的に進行し、最終的にはシスプラチンなどのアンミン錯体が生成します。反応式の一例は以下の通りです。

[PtCl₄]²⁻ + nNH₃ → [PtCl₄₋ₙ(NH₃)ₙ]ⁿ⁻² + nCl⁻

ここで、nはアンモニアの配位数です。

結晶構造

テトラクロリド[白金]酸カリウムは正方晶系に属します。格子定数はa = 6.99 Å、c = 4.13 Åです。[PtCl₄]²⁻イオンは正方形平面構造をとり、Pt-Cl結合長は2.33 Åです。白金原子の電子配置は5d⁸の低スピン型であり、dsp²混成軌道をとっています。

結晶中では、[PtCl₄]²⁻イオン平面が重なり、c軸方向に鎖状構造を形成しています。Pt-Pt間の距離は4.13 Åです。この特異な構造が、この化合物の様々な性質に関与していると考えられます。

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