テトラヒドロ葉酸とは？意味をやさしく解説

テトラヒドロ葉酸（Tetrahydrofolic Acid）

テトラヒドロ葉酸は、葉酸誘導体の一種であり、主にアミノ酸や核酸の代謝に関与する重要な補酵素です。この化合物は、体内でのさまざまな反応に欠かせない役割を果たしています。以下では、テトラヒドロ葉酸の合成経路、機能、欠乏の影響、さらには関連項目について詳述します。

代謝経路

ヒトによる生合成

テトラヒドロ葉酸は、ジヒドロ葉酸から生成されます。この過程に関与する主な酵素はジヒドロ葉酸レダクターゼ（EC 1.5.1.3）であり、メトトレキサートによってその活動が阻害されることがあります。次に、ジヒドロ葉酸はグリシン開裂系またはセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ（EC 2.1.2.1）によって5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸に変換されます。また、真核生物ではなく真正細菌が合成を行う際には、ジヒドロプテロイン酸を生成するためにジヒドロプテロイン酸シンターゼが使われます。この酵素は人間には存在しないため、この合成経路は特有です。このメカニズムは、スルホンアミド系抗生物質の生産にも関与しています。

機能と役割

テトラヒドロ葉酸は、1炭素基ドナーとして重要な機能を持ち、さまざまな生化学反応において必要不可欠な役割を果たします。特に、アミノ酸やヌクレオチウドの合成に関与しており、5-メチルテトラヒドロ葉酸や5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸から生成される反応におて非常に重要です。5-メチルテトラヒドロ葉酸-ホモシステインメチルトランスフェラーゼにおいては、補因子としてメチルコバラミンが必要で、これによってメチオニンの生成が促進されます。

さらに、テトラヒドロ葉酸の合成過程では、L-セリンとの反応を通じて5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸が生成され、次いでチミジル酸の合成に寄与します。これによりDNA合成が進み、細胞分裂に欠かせない基質が提供されます。

欠乏とその影響

テトラヒドロ葉酸の不足は、大球性貧血などの健康問題につながる可能性があります。特に、細胞分裂や成長に必要な核酸の合成に必要なため、特に妊娠中の女性においてはその重要性が増します。また、メトトレキサートはテトラヒドロ葉酸の合成を妨げることもあり、骨髄抑制を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

まとめ

テトラヒドロ葉酸は、ヒトの生命活動において非常に重要な化合物であり、その合成や作用機序について理解することは健康管理において不可欠です。