葉酸

葉酸について

葉酸（ようさん）は、ビタミンB群に属する重要な栄養素であり、「ビタミンB9」や「プテロイルグルタミン酸」としても知られています。水溶性ビタミンの一種で、1941年に乳酸菌の増殖因子としてホウレンソウから発見され、その名前はラテン語で「葉」を意味する「folium」に由来しています。葉酸は、体内で還元反応を経て補[[酵素]]として機能します。

機能

葉酸の活性型であるテトラヒドロ葉酸は、アミノ酸や核酸の合成に不可欠な役割を果たしています。テトラヒドロ葉酸は、様々な炭素基を受け取るドナー分子として作用し、アミノ酸やDNAの合成を助けています。このため、葉酸が不足するとDNA合成に影響が出て、赤血球の生成に障害が起こることもあります。特に妊娠中は二分脊椎の発症リスクを低下させるため、十分な摂取が求められます。

厚生労働省は、妊娠を考える女性に対して1日0.4mg（400µg）の葉酸摂取を推奨しています。通常の成人の推奨量は240µgで、妊娠中や授乳中はさらに高い摂取が必要とされます。

栄養と食品

葉酸はレバー、緑黄色野菜、果物に多く含まれています。ただし、調理や保存によって壊れやすいため、新鮮な状態の食材から摂取することが鍵です。また、過剰なアルコール摂取は葉酸の吸収に悪影響を及ぼします。

欠乏症

葉酸の不足は、妊娠や授乳時の要求量が増える、または小腸の疾患や薬剤の影響などで引き起こされます。細胞分裂が活発な箇所で特に欠乏症が現れ、貧血や消化管の異常、免疫機能の低下がみられることがあります。妊娠初期に葉酸不足になると、胎児に神経管閉鎖障害を引き起こすリスクもあるため、特に注意が必要です。

過剰症

一方、葉酸の過剰摂取はビタミンB12の欠乏を隠す可能性があり、悪性貧血のリスクを抱えることがあります。また、がん治療においては抗葉酸剤の効果を減少させることが知られています。

生化学的役割

葉酸はDNA合成やアミノ酸の代謝に深く関与しており、特にテトラヒドロ葉酸は、デオキシウリジン一リン酸（dUMP）からチミジル酸（dTMP）への変換にも寄与しています。このため、細胞分裂の際に必要不可欠であり、葉酸欠乏症が生じると、特に造血器官に深刻な影響を与えます。

健康問題

葉酸とがんに関する関係は複雑ですが、適切な摂取が腫瘍のリスクを下げる可能性があります。研究によると、葉酸の不足や過剰の摂取は、がんのリスクにそれぞれ異なる影響を与えることが分かっています。

医薬品の相互作用

葉酸は特定の薬剤との相互作用があり、抗痙攣薬やメトトレキサートなどは葉酸の吸収を妨げることがあります。そのため、これらの薬を使用している方は葉酸の摂取に気をつける必要があります。

まとめ

葉酸は生命活動に不可欠で、特に妊婦や授乳中の女性にとって重要な栄養素です。日常的な食生活において含まれる食品を意識的に摂取し、欠乏や過剰摂取を避けることが健康維持に役立ちます。

もう一度検索