テネシン

テネシン (Tennessine, Ts)

テネシンは、元素記号Tsを持つ原子番号117の合成元素であり、周期表の第7周期に位置しています。この元素は、知られている中で2番目に重いもので、発見以前は「ウンウンセプチウム」という一時的な名称で呼ばれていました。

発見の経緯

テネシンの発見は、2010年4月にロシアとアメリカの共同チームによって公表されました。発見の地点はロシア連邦ドゥブナで、2017年までに最も新しい元素として知られていました。最初の実験が行われたのは2009年で、この際に得られた崩壊生成物も2011年に合成され、発見の証拠を提供しました。国際的な科学団体であるIUPACとIUPAPの合同チームは、発見を評価し、2015年には新元素として正式に認められました。

名称の由来

テネシンという名称は、発見者の所属する研究機関が位置するアメリカ合衆国テネシー州にちなんでいます。2016年6月には、この名称がIUPACによって公式に承認されました。

合成への挑戦

テネシンの合成は非常に難しく、特にバークリウムやカルシウムを使った核融合が重要でした。2004年にはJINRがORNLに117番元素の合成実験について提案し、やがて実現に向けての準備が進められました。2008年にはオークリッジ国立研究所が必要なバークリウムの製造を再開し、実験を行うための素材が揃いました。

特性と予測

テネシンは第17族元素であり、通常のハロゲンとは異なる特性を持つと予測されています。そのため、アニオンを形成せずに高い酸化数を取らない金属的な性質を持つことが期待されています。具体的には、テネシンは安定の島に近い位置に位置すると考えられており、相対論的効果のため、特異な電子配置を有することが予測されています。

予測される融点や沸点は、アスタチンや他のハロゲンよりも高いとされています。テネシンの万一の合成によって、347℃から550℃の間の温度での超重元素研究の面白さが増しています。また、テネシンの密度も非常に高いとされ、7.1-7.3 g/cm3と予測されています。

化学的性質

テネシンの化学的特性は、他のハロゲンとは一線を画し、電子を受け入れにくい性質を持つと考えられています。一般的に、最も多く取られる酸化状態は-1ではなく、+3や+5の状態にあると予測されています。

化合物としては、一水素化物であるTsHが知られるほか、さらに塩化物の性質についても多くの研究が進められています。しかし、既知のテネシン同位体の半減期が非常に短いため、実験的な確認には至っていない部分が多くあります。

まとめ

テネシンは、まだ多くの特性が未解明の元素であり、今後の研究に期待が寄せられています。周期表の新しい仲間として、テネシンがどのように知られていくか、その性質の解明が待たれます。

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