テネシー明治学院高等部

テネシー明治学院高等部：アメリカに存在した日本人学校

テネシー明治学院高等部（Tennessee Meiji Gakuin High School, TMG）は、かつてアメリカ合衆国テネシー州スイートウォーターに存在した、全寮制の日本人向け教育機関でした。学校法人明治学院（東京都港区）が運営する私立在外教育施設として、米国初の日本人高校でしたが、2007年3月をもって閉校しました。

概要

同学院は、1874年に開校し1988年に閉鎖されたテネシー軍事学校（TMI）の施設を再利用していました。明治学院大学が1988年夏に校舎を購入し、改修工事を経て1989年5月11日に開校しました。当初は4月20日の開校を予定していましたが、米国移民帰化局の事務処理の遅れにより延期されました。

スイートウォーター市長は、学院の開校が経済発展に繋がり、地域住民も施設を利用できることから、地域社会は概ね好意的に受け入れていました。開校前には一般公開日を設け、茶会やカントリーミュージックの演出で日本とテネシー州の文化を紹介しました。

しかし、開校直後の1989年5月23日には、白人至上主義者による十字架燃やし事件が発生し、地域社会に衝撃を与えました。警察が公式に謝罪する事態となりましたが、学院の生徒たちはこの文化的な象徴の意味を理解していませんでした。

学院は主に、アメリカ駐在員の日本人子女や日本からの留学生を受け入れ、地域社会との交流も積極的に行っていました。生徒たちはホストファミリー宅に寄宿したり、教会に通ったりすることで、地域社会に溶け込んでいきました。

廃校

バブル経済崩壊後の生徒数減少、2001年のアメリカ同時多発テロ事件後の渡米控えなどにより、生徒の確保が困難となり、2007年3月31日に閉鎖されました。明治学院は学校施設の売却や運営委託による存続も検討しましたが、実現には至りませんでした。閉校式は2007年3月10日に行われ、最後の年にはわずか26名の生徒が在籍していました。

校舎

校舎はグレート・スモーキー山脈のふもとに位置し、14棟の建物と144エーカーの広大な敷地を有していました。閉校後、校舎は売りに出されましたが、地元のスイートウォーター持続可能性協会に無償で贈与され、地域教育施設として再利用されることになりました。しかしその後、所有権を巡る裁判が起こり、地域社会との合意がないまま実態不明の業者に譲渡されたことに対し、不安や不満の声が上がっています。

学院の運営

学院は日本人学生だけでなくアメリカ人学生も受け入れていましたが、末期には日本人のみが在籍していました。卒業生は明治学院大学への進学が優遇され、日本やアメリカの大学への進学を選択できました。授業は月曜から土曜まで行われ、年間授業日数は230日と、近隣の学校よりも多く、教育熱心な学校でした。

授業料

授業料は年々上昇し、1992年には19,000米ドルに達しました。これは、現地の日本企業の中間管理職にとっても高額な負担でした。日本以外の家族には割引制度もありました。

課程

1コマ75分の時間割で、英語、美術、保健体育、歴史、日本語、算数、宗教、科学などが教えられました。英語、美術、体育以外の授業は日本語で行われました。テネシー大学学長は、学院の教育制度がアメリカの学校よりも優れていると評価しました。

教師

教師の多くは日本国籍でしたが、英語や体育などの科目は現地採用の教師が担当しました。寮の監守も現地の人々が務めていました。

生徒

開校当初の生徒数は24名でしたが、1992年には109名に増加しました。生徒の約3分の2は日本国籍で日本在住、約3分の1は日本国外に在住していました。日本在住の生徒は、アメリカの文化や英語を学ぶために学院に入学しました。生徒たちは週末に現地の家族と交流したり、教会に通ったりして、地域社会との親睦を深めました。

著名な出身者

里見治紀（セガサミーホールディングス代表取締役社長グループCEO）
本多章一（俳優）

テネシー明治学院高等部は、短期間ながらも多くの人々に影響を与え、日米の文化交流の架け橋となりました。

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