テフ (穀物)

テフ（Eragrostis tef）

テフは、イネ科スズメガヤ属に属する植物で、主にエチオピアで栽培されています。その種子は主食として大量に消費されており、エチオピア料理では欠かせない存在となっています。テフの特徴として、栄養価が非常に高く、グルテンを含まないため、グルテンフリーのダイエットを行う人々にとっても魅力的な選択肢です。

植物の特徴

テフの草丈は50cmから150cm程度であり、種子の皮の色に応じて赤色種と白色種に分類されます。この植物の種子は非常に小さく、床に落ちてしまうと見失うほどの大きさです。「テフ」という名前は、アムハラ語で「見失う」を意味する「ṭäffa」に由来しています。

栽培方法と歴史

エチオピアでは、テフは伝統的に主食として重宝されてきました。その栽培方法は、雨季の始まりである8月に牛を使って畑を耕し、手で種をまくというシンプルなスタイルが用いられています。収穫は9月から10月に行われ、11月には成熟します。さらに、同じ耕地で4年間続けて栽培し、その後は4から10年休耕するというサイクルを守ることで、安定した収穫が確保されます。2004年のデータによると、エチオピアのテフの収穫量は1,687,000トンであり、収率は0.8トン/haでした。

テフは、元々アムハラ人の栽培していた穀物でしたが、エチオピア帝国の成立とともに、周辺地域への栽培が広がり、国民の食文化の一部となりました。高い需要に対して収穫量が限られているため、エチオピアはテフの輸出を制限することもあります。現在では、オーストラリアやオランダ、アメリカの一部地域でも栽培されていますが、これらの地域では輸入価格が高く、日本では南アフリカ産のテフが入手されることもあります。

利用法

テフの種子は、まず収穫後に脱穀され、その後石臼で挽いて粉にします。水を加えて生地を作り、常温での発酵を経てから焼かれることで、エチオピアの主食である「インジェラ」が作られます。インジェラは独特の酸味を持つ薄焼きのパンであり、様々な料理と一緒に食べられます。食べ方としては、インジェラの上に料理を乗せてそれを手で包んで食べるスタイルが一般的です。

また、テフはその栄養価の高さから、近年では小麦アレルギーの人々にも利用されるようになっています。鉄分や食物繊維が豊富で、現代においては「スーパーフード」として広く認識されています。

スズメガヤ属の観察

スズメガヤ属には多くの種が含まれ、日本でも10種類以上が確認されていますが、テフのように広く利用される種は少ないのが現状です。これからの時代ともに、テフのような栄養価の高い食材が注目されていくことが期待されています。

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