テミスの求刑

テミスの求刑

「テミスの求刑」は、大門剛明による推理小説であり、2014年8月25日に中央公論新社から刊行されました。この作品は、主人公が父の殺害事件に関する冤罪の真相を追及する姿を描いたリーガルサスペンスで、2015年にはWOWOWでドラマ化されました。

あらすじ

物語の中心は平川星利菜という若手の検察事務官です。彼女の父、平川章造は3年前に何者かに撲殺され、その事件の真相は未解決のままとなっていました。星利菜の父の事件では、澤登健太郎が逮捕され、自供をしたものの、彼はその後獄中で自殺します。事件の真相を追求することが星利菜の見せ場といえます。

その数日後、星利菜の上司である田島亮二が殺人の容疑で逮捕されます。田島は有能な検事であるがゆえに、星利菜は彼を尊敬してきました。しかし、現場に血まみれのナイフを持った田島が映っている防犯カメラの映像を見て、星利菜は心を痛めます。田島は無罪を主張するものの、彼がなぜそんな状況にあったのかを語ろうとはしません。

星利菜は再び父の事件を調査し、捜査ノートや黒宮の手帳から牧原智也という名前を見つけて彼に接触しますが、行動は一方的に拒絶されます。その後、牧原と連絡を取り、静岡駅での待ち合わせが約束されたが、結果として彼の遺体が発見されるという悲劇が起こります。

一連の事件から星利菜は、新たに思い浮かんだ人物について調査を進め、真相解明のために行動を起こすことになります。彼女は父の名誉を取り戻すため、そして自分自身の尊厳のため、執念を燃やして捜査に挑みます。

登場人物

平川星利菜

若手検察事務官で、志望は検事。父親を失った過去を持ち、事件を通じて特殊な視点を得て成長します。

田島亮二

優れた検事で、被疑者から自白を引き出すことを得意とする。父の事件では担当として澤登から自白を得ましたが、後に黒宮の殺害事件に絡んで逮捕される。

黒宮和彦

澤登の弁護人で、冤罪を証明するために奔走したが、命を落とす運命に。彼の行動が星利菜に影響を与えます。

牧原智也

章造に取り調べられた過去を持つ人物で、事件に関わる重要な鍵を握っています。

書籍とドラマ

推理小説としてきわめて人気の高い本作は、刊行から1年後、WOWOWの「連続ドラマW」として放送され、大変好評でした。ドラマ版では、星利菜役の仲里依紗をはじめとする精鋭キャスト陣が作品を盛り上げており、視聴者からも深い感動を得ました。

全4回の構成で制作され、物語の核となる“冤罪の償い”というテーマが強調されています。また、静岡県裾野市で行われた大規模なアクションシーンも話題に。

まとめ

「テミスの求刑」は、スリリングな展開と緻密な人間ドラマが交錯する物語です。父を失った苦悩と真実を求め続ける主人公の姿勢は、多くの読者に共感を呼び起こすことでしょう。推理小説の新しい可能性を感じる一作として、ぜひ手に取ってみてください。

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