テムズ鉄工造船所

テムズ鉄工造船所の歴史と影響

テムズ鉄工造船所（Thames Ironworks and Shipbuilding Company）は、イギリスの造船業界で長い歴史を持つ企業であり、特に19世紀において顕著な役割を果たしました。1837年に設立されたこの会社は、最初は小型の外輪船を建造することから始まり、次第に製造能力を拡大し、イギリス海軍向けの艦艇や商業用船舶の建造へと進化を遂げていきました。

創業と初期の発展

テムズ鉄工の前身、ディッチバーン・アンド・メア造船所は、1837年にトーマス・ディッチバーンとチャールズ・メアによって設立された。しかし、1838年の火災で焼失し、その後オーチャード・プレイスに移転しました。その後、ウィリアム・アンド・ベンジャミン・ワリスの廃業した造船所を取得し、さらに短期間で6隻の外輪船を建造するに至ります。初期の10年余りで、彼らは英仏海峡横断船や300トン以上の船舶を建造する技術を獲得しました。この時期の主な顧客にはアイアン・スチームボート社とブラックウォール鉄道があります。

変革と成長

1847年、会社は再編成されC.J.メア社へとなり、更に成長を遂げます。この頃にはリー川沿岸の土地を取得し、広大な建設エリアを確保した結果、3000人以上の従業員を抱えるまでになりました。しかし、1855年には財政上の困難が発生しましたが、ジョゼフ・ウェストウッドとロバート・バイリーといった従業員が会社を支えるために指揮を取ります。結局、1857年には新たにテムズ鉄工造船工業株式会社として再スタートを切りました。

軍艦建造と国際的な注文

1860年代には新たな製造能力を持ち、特にイギリス海軍との契約を得てからは、世界中の国々からの艦艇の発注が相次ぎました。1860年には世界初の全鋼鉄製軍艦「ウォーリア」を進水させ、700トンを超える排水量で当時最大かつ最速の艦艇として名を馳せました。その後の1863年に長さ400フィートの「マイノーター」を進水し、この造船所は海軍艦艇建造の中心として活動を続けました。

影響力のある製品と閉鎖

1890年代、アーノルド・ヒルズが会社の管理職に就任し、従業員労働の改善に努め、また、この時期に設立されたテムズ鉄工FCは後のウェストハム・ユナイテッドFCへとつながりました。最終的に、1912年には資金不足から造船所は閉鎖を余儀なくされましたが、144隻の軍艦を含む多くの艦船を建造したという功績は評価されています。1912年に閉鎖された際、会社が最後に手がけた主力艦は、第一次世界大戦において大きな役割を果たした艦艇となったのです。

このように、テムズ鉄工造船所はその創立から閉鎖までの間、数々の艦船を通じてイギリス海軍と商業海運の発展に寄与した歴史的な企業であり、多くの重要な技術革新をもたらしました。

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