テライユキ

テライユキ：バーチャルアイドル黎明期を彩ったCGの女神

テライユキは、漫画家・くつぎけんいちによってデザインされたバーチャルアイドルです。元々はくつぎの漫画『Libido』のヒロイン「寺井有紀」を3DCG化したもので、2000年前後のバーチャルアイドル（CGアイドル）ブームを代表するキャラクターとして知られています。

設定

公式設定では、テライユキは千葉県出身の2000年9月9日生まれの17歳とされています。ジャズを愛し、尊敬するアーティストはサラ・ヴォーンとビリー・ホリディ。身長は166cm、スリーサイズは86・59・85。職業はアイドル歌手とされています。しかし、3DCGのテライユキが発表されたのは1998年であり、設定上の生年月日とは異なります。グラビアデビューを飾った1998年の週刊ヤングジャンプでは、2017年から来たタイムトラベラーという設定で紹介されました。また、くつぎ自身が作ったCGキャラクターとしての側面も語られることがあります。当初はアイドル活動を想定していませんでしたが、発表翌年には実際に歌手デビューも果たしました。漫画『Libido』の「寺井有紀」は、年齢も職業も異なるため、設定上のテライユキとは別人として扱われます。

現実世界での経歴

テライユキの3DCGモデルは、くつぎが3Dグラフィックソフト・Shadeを使って趣味で制作したものです。1996年にMacintoshを導入したのをきっかけに、以前から関心があった3DCGに打ち込みました。テライユキのコンセプトは「日本人のかわいい女の子」で、試行錯誤の末に自身の漫画『Libido』の「寺井有紀」をテンプレートにして作られました。リアルとアニメの中間を目指したCGは、1998年にくつぎのホームページや「Shadeな人々」で発表され、ネット上で大きな評判を呼びました。当時、3DCGの女の子キャラクターは他にも存在しましたが、テライユキはCG技術だけでなく、キャラクターの見せ方も理解した漫画家の手によって作られた点が優れていました。

くつぎは、Shadeの広告への起用とヤングジャンプのグラビア掲載を目標としていました。これらの目標は、1998年のうちに達成されます。Shadeの広告起用は「Shadeな人々」での発表がきっかけで、エクス・ツールス（当時のShade開発元）から打診を受けました。ヤングジャンプのグラビア掲載は、当時の担当に何度もプレゼンテーションを行い、最終的にヤングジャンプのグラビアページを模した画像をホームページで公開するという努力が実りました。その後、CGキャラクターのプロデュース、版権管理を専門とする「フロッグエンターテイメント」が設立され、テライユキのタレント活動が本格的にスタートしました。

「フロッグエンターテイメント」は、3DCG雑誌『CG WORLD』の編集長だった永田豊志が、くつぎに写真集の企画を持ちかけたのがきっかけで設立されました。永田は、原作者からCGキャラクターを預かり、制作、広報、商品化などを担当するという仕組みを考案し、テライユキのプロデュースを開始しました。オーディションで選ばれた声優によってテライユキに声が与えられ、CGも動画対応のため「3DStudioMAX」向けに再構築されました。1999年から2002年頃にかけて、テライユキは様々な媒体で活躍しました。写真集は、ロケ地で人間の女性モデルを撮影し、それを元にCGを重ね合わせるという方法で制作され、通常の写真集の倍ほどの費用がかかったそうです。テレビ番組出演は、あくまでPRの機会として考えられていました。

テライユキの登場は、美少女CG制作ブームを生み出しました。1998年末に発売されたShade用モデリングデータは、翌年末までに1万5千本以上を売り上げ、3DCGソフトShadeも売り上げを伸ばしました。芸能活動が終了した後も、モデリングデータの販売は続けられています。

年表

1997年: 漫画『Libido』で「寺井有紀」が登場
1998年: 3DCGキャラクター「テライユキ」発表、Shadeの広告起用、ヤングジャンプグラビア掲載、モデリングデータ発売
1999年: アミューズメント施設で初の動く姿を披露、写真集発売、デビューシングル発売
2000年: テレビ初出演、メジャーデビュー、ミュージックビデオ発売、CM出演
2005年: Poser用モデリングデータ発売
2014年: Shade 3D対応データ発売
2015年: CG雑誌『CGWORLD』表紙を飾る

出演・関連商品

モデリングデータ: Digital Beauty テライユキ 3Dデータコレクション、Shade Digital Beauty Classic テライユキ 3Dデータコレクション、Poser フィギュアパックテライユキ、Poser フィギュアパックテライユキ2
キャンペーン: 日産セドリックWebナビゲーター、NEC PC98NXプロモCD-ROM
写真集: 『Shangri La』、『東京ラビリンス』
テレビ番組: 「テライユキのデジタルドリーム」、「超V.I.P.」
テレビコマーシャル: エチケットライオン、エチケットダブルカプセル
ゲーム: 『Primal Image Vol.1』
CD: 『ETC/BOHEMIA〜ボヘミア〜』、『my dearest you』
ミュージックビデオ:『シークレット・ライブ』、『シークレット・フィルム』、『テライユキのダンシングクイーン vol.1』、『テライユキのダンシングクイーン vol.2』、『テライユキ in バーチャルハワイ vol.1』、『テライユキ in バーチャルハワイ vol.2』

脚注

[1] 二次元倶楽部 - くつぎけんいちのウェブサイト。

関連項目

バーチャルアイドル
Shade (ソフトウェア)
飛飛

外部リンク

もう一度検索