テラスハウス (テレビ番組)

『テラスハウス』：人気リアリティ番組の光と影

『テラスハウス』は、2012年から2020年までフジテレビ系列で放送され、その後Netflixなどで配信された人気リアリティ番組です。台本なしで、男女がシェアハウスで共同生活を送る様子を記録するという斬新なコンセプトで、若者を中心に幅広い層から支持を集めました。

番組の概要

番組では、テラスハウスと呼ばれる家と、スポンサーであるトヨタ自動車が提供する車が用意され、共同生活を送る上でのルールは特に設けられていません。メンバーの出入りは自由で、彼らのリアルな人間関係やドラマが展開されていきます。スタジオには、YOU、トリンドル玲奈、山里亮太といったタレントがレギュラー出演し、VTRを見ながら自由にコメントするスタイルも人気を集めました。

シリーズの展開

『テラスハウス』は、いくつかのシリーズに分けて放送・配信されました。

BOYS×GIRLS NEXT DOOR (2012–2014)：初代テラスハウスでの男女の共同生活。
BOYS & GIRLS IN THE CITY (2015–2016)：舞台を東京に移し、新たなメンバーでの生活。
ALOHA STATE (2016–2017)：シリーズ初の海外編として、ハワイを舞台に展開。
OPENING NEW DOORS (2017–2018)：軽井沢を舞台に、新たな恋模様が繰り広げられる。
* TOKYO 2019–2020：再び東京を舞台としたシリーズ。

2015年には映画版『テラスハウス クロージング・ドア』が公開され、テレビ版の出演者も登場し話題となりました。

打ち切りと社会への影響

人気絶頂にあった『テラスハウス』でしたが、2020年5月、出演者の一人であった木村花さんの死去という悲しい出来事が起こります。彼女は番組内での言動に対し、SNS上で誹謗中傷を受けており、そのことが原因で自ら命を絶ったとされています。この事態を受け、フジテレビは『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』の制作を中止しました。

木村花さんの事件は、SNSでの誹謗中傷問題に改めて光を当てることとなり、社会全体に大きな衝撃を与えました。日本政府もこの問題を受け、誹謗中傷の発信者特定を容易にする制度や、侮辱罪の厳罰化を検討するなど、対策に乗り出しました。2022年には侮辱罪に懲役刑を導入する改正刑法が可決・成立し、SNS利用における責任の重さを改めて認識させる契機となりました。

海外での評価

『テラスハウス』は、Netflixを通じて世界各国で視聴されており、特に軽井沢編である『TERRACE HOUSE OPENING NEW DOORS』は、米TIME誌の「2018年のベストテレビ番組10」で6位に選出されるなど、海外でも高い評価を得ています。海外のリアリティ番組とは異なり、派手な演出や過激な展開がない点が、海外の視聴者には新鮮に映っているようです。

まとめ

『テラスハウス』は、日本のリアリティ番組の先駆けとして、多くの視聴者に夢と感動を与えました。しかし、同時にSNSでの誹謗中傷という現代社会の闇を浮き彫りにし、私たちに多くの課題を突きつけました。番組は打ち切りとなりましたが、その影響は今もなお続いており、SNSとの向き合い方について深く考えさせられる出来事でした。

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