テレク・コサック軍

テレク・コサック軍の歴史

テレク・コサック軍は、1860年から1918年という期間において、ロシア帝国の重要な軍事組織の一つでした。この軍隊のルーツは16世紀後半に遡り、その祖先であるグレブニャ・コサックはドン川から北カフカスのスンジャ川へと移動しました。1577年、彼らはテレク要塞をクリミア・タタール人の襲撃から守り、その結果としてこの年がテレク・コサック軍の創立年とされています。しかしながら、当初の「テレク・コサック」という概念自体は存在していませんでした。

1712年に、ロシア政府がグレブニャ・コサックをテレク川流域に移住させ、その後この部隊はテレク・コサックと呼ばれるようになりました。その後、1722年にはアグラハニ・コサック軍が編成され、1735年にはグレブニャ・コサック軍、家族コサック軍、キズリャル・コサック軍という三つの軍団が存在しました。

1780年代にはロシア帝国がカフカース防衛線を構築し、テレク・コサックを防衛任務に利用しました。1806年にはテレク州が設置され、知事がカフカース軍団の指揮を執るようになりました。その後もテレク・コサックはロシア帝国の治安維持や国境防備において重要な役割を果たしました。

1860年にはカフカース防衛線軍が廃止され、正式にテレク・コサック軍が創立されました。この軍には4つの連隊が編成され、駐屯地はテレク州のウラジカフカスに置かれ、任務は帝国の境界の防衛とカフカース地域での治安樹立でした。1916年にはテレク・コサックの総人口が約255,000人に達し、これはテレク州の20%を占めていました。

平時には、テレク・コサック軍は国家のために約5,000人を提供し、第一次世界大戦の際には約18,000人が参戦しました。また、カフカースの植民地化に貢献した彼らは、民族衣装を軍服として着用することを許され、軍の色は青で統一されていました。テレク・コサックは多くの戦争に参加し、特に1817年から1864年のカフカース戦争や、日露戦争、第一次世界大戦において重要な役割を果たしました。

ボリシェヴィキの政権確立に伴い、1918年にテレク・コサック軍は解体され、多くのコサックが抹殺または流罪となりました。1936年にはソ連が新たにコサック部隊の編成を行いましたが、これに残党たちは敵意を抱いていました。第二次世界大戦時には、ドイツ軍が進駐すると彼らは積極的に協力しました。

ソビエト連邦崩壊後、テレク・コサックの末裔らによる復興運動が起き、チェチェン紛争やロシア・グルジア戦争にも参加しました。これにより、テレク・コサックの存在は再び注目を集め、彼らの歴史と文化は今でも生き続けています。

テレク・コサック軍は、カフカース地域の歴史・文化の一部として今なお重要な位置を占めています。

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