コサック

コサックの歴史

コサックは、ウクライナ語で「козак」、ロシア語で「казак」と表記される軍事共同体およびその構成員を指します。当初、コサックは独立集団として形成され、テュルク系民族やスラブ人など、さまざまな民族が参加していました。特に、15世紀にはウクライナ中南部の広大な草原地帯に住み着いたとされています。

コサックの起源と初期の発展

コサックの起源は明確ではありませんが、14世紀から16世紀にかけて、スキタイやタタールなどの遊牧民族が往来していた地域で形成されたと考えられています。1444年、文献にその姿が見られ、タタールと戦ったリャザンの衛兵として初出しました。

15世紀後半、クリミア・タタールから逃れた人々が「荒野」に集まり、独立したコサック共同体を形成しました。ポーランドとの関係性が強化される16世紀には、ザポロージャ・コサックとドン・コサックとしてそれぞれ発展。ザポロージャ地方では1540年代に結成されたシーチによって、軍事拠点が整備されていきます。

コサックの自治と抗争

コサックは周囲の封建国家に対して自治権を求め、軍務を提供する代わりにその権利を認められました。しかし、1571年にクレミア・ハン国の攻撃を受け、反発を強める中でコサックと周辺国家の関係は緊張していきました。また、トルコの保護のもと独立国家としての地位を確立し、1648年にはボフダン・フメリニツキーがヘトマンとなり、ポーランドに対する革命を起こします。この乱は、ザポロージャ・コサックの国家を樹立するきっかけとなりました。

1649年、ウクライナでヘトマン国家が樹立されましたが、それでもロシア帝国の保護下に入ることが必要でした。次第にロシアの援助依存が強まり、1720年代にはロシアの支配が強化されていきコサックの自治権も削減されていきます。

帝政ロシアとコサック

18世紀末にはロシア帝国によってザポロージャ・コサックが廃止され、その後コサックは国境警備や内政保安のために使役されました。これにより彼らは貴族や商人と同じ社会階級の一部となり、税金免除などの特権を与えられましたが、同時に兵役が義務づけられました。

ロシア内戦（1917-1922年）時には、ボリシェヴィキと白軍両方に支持者が存在し、コサックは複雑な立場に追いやられました。大多数のコサックが白軍の側に立ちましたが、内戦が終わるころにはボリシェヴィキ政府の攻撃を受け、多数のコサックが命を落とし、離散しました。彼らの組織はソビエト時代には禁止されが、1991年のソ連崩壊以降、復興の動きが見られるようになりました。

現代のコサック

現在では、ウクライナやロシア、さらにはアメリカなどにおいて「コサック軍」を名乗る団体が活動しており、文化活動や軍事的支援に介入。ウクライナとロシアでの市民団体を通じてコサックの文化が復興されています。ホパークダンスやコサック民謡は、ウクライナの文化遺産として重要視され、ユネスコに登録される事例もあります。コサックの歴史は、彼らの独立した精神や多民族共存の証として今日でも語り継がれています。

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