テレク・ソビエト共和国

テレク・ソビエト共和国（ロシア語: Терская Советская Республика）は、1918年から1919年にかけて、ロシア社会主義連邦ソビエト共和国の構成国として、テレク州に存在した国家です。この共和国は、「テレク人民ソビエト共和国」とも呼ばれていました。

設立と初期の動き

1918年3月16日（ユリウス暦3日）、ピャチゴルスクで開催された第2回テレク人民大会で、テレク・ソビエト共和国の樹立が宣言されました。翌日にはソビエト権力が承認され、人民委員会議議長にはボリシェヴィキのサムイル・ブアチゼが就任しました。他の人民委員には、ボリシェヴィキからユーリー・フィガトネル（内務）、S・ドロプコ（鉄道輸送）、ヤーコフ・マルクス（教育）が、メンシェヴィキとロシア社会民主労働党国際派からはヤーコフ・ブトゥイリン（軍事）、I・I・エレドフ（食糧・貿易）、エルモライ・ボグダノフ（労働・産業）が、社会革命党左派からはユーリー・パシュコフスキー（農業）、A・A・アンドレーエフ（金融）、P・F・カルピンスキー（国家統制議長）、I・S・イヴァンチェンコ（保健・社会・福祉）が、無所属でK・N・ディグロフ（法務）、ガプル・アフリエフ（民族問題）、A・ソモフ（テレク・コサック軍問題）が選出され、多様な政治勢力が参加する形で政権がスタートしました。

4月18日に承認された法令によって、共和国の領域はピャチゴルスク、モズドク、スンジャ、キズリャルの4つの部と、ナリチク、ナズラン、グロズヌイ、ハサヴユルト、ヴェジェノ、ウラジカフカスの6つの管区で構成されることが定められました。

共産化の推進と政権の動揺

6月20日にブアチゼ議長が死去すると、パシュコフスキーが後任の人民委員会議議長に就任しました。年末にかけて共産化が進められ、企業、土地、森林、鉱山の個人所有が禁止され、貧民への再配分が行われました。また、5月の第3回人民大会では革命軍の形成について議論がなされ、7月から8月にかけて開催された第4回大会では、反革命勢力対策が主要な議題となりました。この結果、ボリシェヴィキ7人を含む新たな人民委員会議が発足し、フリッツ・ブッレが議長に就任しました。

消滅

しかし、政権は次第に臨時テレク・ダゲスタン政府などの反革命コサック軍によって圧迫され、首都をウラジカフカスに移転せざるを得なくなりました。さらに、1918年7月7日に開催された第1回北カフカース・ソビエト大会において、テレク共和国は他のソビエト共和国とともに北カフカース・ソビエト共和国に再編されることが決定しました。テレク共和国は、その後も北カフカース共和国内で独立した存在を維持しようとしましたが、1919年2月には白軍義勇軍によって制圧され、その短い歴史に幕を閉じました。

テレク・ソビエト共和国は、設立から消滅までの期間は短かったものの、ロシア革命後の混乱期における地域社会の複雑な政治状況を反映した重要な出来事の一つとして、歴史にその名を刻んでいます。様々な政治勢力が入り乱れる中で、社会主義的な政策を推し進めようとしましたが、外部からの圧力に屈する形で、その試みは終わりを告げました。

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