北カフカース・ソビエト共和国

北カフカース・ソビエト共和国とは

北カフカース・ソビエト共和国は、1918年7月7日から同年12月にかけて、ロシア内戦の混乱期に北カフカース地方に存在した短命の国家です。この共和国は、クバーニ＝黒海ソビエト共和国、スタヴロポリ・ソビエト共和国、テレク・ソビエト共和国の3つのソビエト共和国が統合される形で誕生しました。しかし、その成立から消滅までわずか数ヶ月という短い期間でした。

共和国の成立

1918年7月7日、エカテリノダールで開催された第1回北カフカース・ソビエト大会において、南ロシア長官セルゴ・オルジョニキゼの主導により、3つのソビエト共和国の統合が宣言されました。これにより、北カフカース・ソビエト共和国が正式に発足しました。この共和国は、ロシア社会主義連邦ソビエト共和国の一部として建国されましたが、その領域はアントーン・デニーキン率いる白軍、グルジア民主共和国軍、テレク・コサック軍といった敵対勢力に囲まれ、本土との連絡が途絶えた状態にありました。

政治体制と運営

共和国の中央執行委員会は、ボリシェヴィキ44人、社会革命党左派29人、戦線代表1人という構成で、ボリシェヴィキのアブラム・ルビンが議長を務めました。国防は赤軍第11軍の共和国革命軍事会議が担当していましたが、内部の政治的な混乱に加え、外部からの軍事的圧力も増大しました。

白軍の攻勢と共和国の終焉

1918年8月になると、白軍、メンシェヴィキ、社会革命党の連合軍による攻勢が激化し、共和国の戦況は急速に悪化しました。中央執行委員会はピャチゴルスクへの移転を余儀なくされました。10月頃には、中央執行委員会はボリシェヴィキ23人と人民共産党員2人で構成されていました。しかし、白軍の侵攻は止まらず、北カフカース地域は白軍によって占領され、共和国の支配領域は縮小の一途を辿りました。その結果、全ロシア中央執行委員会は12月に北カフカース・ソビエト共和国の廃止を決定し、短命な共和国はその歴史に幕を閉じました。

短命に終わった理由

北カフカース・ソビエト共和国が短命に終わった主な理由は、以下の通りです。

地理的な孤立: 共和国は、敵対勢力に囲まれ、ロシア本土との連絡が困難であったため、物資や兵員の補給が滞りました。
白軍の攻勢: 白軍は、この地域を支配下に置こうと積極的な軍事作戦を展開し、共和国の防衛力を圧倒しました。
内部の政治的混乱: 共和国内部では、ボリシェヴィキと社会革命党の間で意見の対立があり、統一した行動を取ることが難しかった。
周辺勢力の圧力: グルジア民主共和国軍やテレク・コサック軍といった周辺勢力の存在も、共和国の不安定化に拍車をかけました。


北カフカース・ソビエト共和国は、ロシア内戦という激動の時代の中で、短期間ながらも独自の歴史を刻みました。その短い期間の中で、様々な政治勢力の思惑が交錯し、激しい戦いが繰り広げられたのです。この共和国の興亡は、ロシア内戦の複雑さを物語る一例と言えるでしょう。

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