テレビばかり見てると馬鹿になる

概要

山本直樹による青年漫画短篇集『テレビばかり見てると馬鹿になる』は、同名の作品を表題作として2000年12月20日に太田出版から刊行されました（ISBN 4-87233-550-3）。現代社会における孤独や閉塞感、そして人間関係の歪みを描き出す山本直樹の作品群の中でも、特に印象的なタイトルを持つ一冊です。この短篇集には、様々な雑誌に発表された複数の短編が収められており、作者の多様な作風に触れることができます。特に表題作は、2007年に実写映画化され、その独特な世界観が映像作品としても展開されました。

収録作品

本短篇集には、以下の8作品が収録されています。初期の作品には「塔山森」名義で発表されたものも含まれています。

なやまない（『マンガ・エロティクス』Vol.1 掲載 ※塔山森名義）
ひどいやつらは皆殺し（『マンガ・エロティクス』Vol.4 掲載 ※塔山森名義）
ひどいやつらは皆殺し2（『マンガ・エロティクス』Vol.5 掲載 ※塔山森名義）
きさくなあのこ（『マンガエフ』2000年8月号 掲載）
「味方」（『マンガエフ』2000年9月号 掲載）
便利なドライブ（『スーパージャンプ』2000年15号 掲載）
泳ぐ（『週刊漫画アクション』1998年11/3号 掲載）
テレビばかり見てると馬鹿になる（『週刊漫画アクション』2000年5/9・16号 掲載）

実写映画

概要

表題作を原作とした実写映画が2007年に公開されました。監督は亀井亨、主演は穂花が務め、同年6月9日にポレポレ東中野でレイトショーとして上映後、7月25日にDVDがリリースされています。この映画は、原作漫画の特徴的なコマ運びや、登場人物の心理的な距離感を映像で表現するため、定点カメラや長回しといった手法を多用している点が特徴です。これにより、主人公が置かれた閉鎖的な状況や、周囲との関係性の歪みが強調されています。

あらすじ

物語の中心となるのは、高校卒業後すぐに職を辞し、自宅に引きこもる荒谷有紀です。ゴミに埋もれた狭い部屋で暮らす彼女の元に、インターネットで知り合った伊藤恵二が訪れます。伊藤は部屋にカメラを設置し、有紀の日常を有料でネット配信していました。この配信が、有紀の生活費の一部となっています。翌日、有紀の社会復帰を願う母親の依頼を受けた支援センターのカウンセラー、馬戸あけるが訪問。さらに、有紀と体だけの関係を持ち、「恋人気取り」で押しかける山崎勝也も現れます。有紀の閉鎖された部屋という空間を舞台に、インターネットを介した関係、偽善的な支援、そして本能的な欲望が交錯し、現代社会の孤独や人間関係の欺瞞が浮き彫りになっていきます。映画には、原作に登場しないオリジナルキャラクターとして伊藤恵二が設定されており、物語におけるネット配信と盗撮という要素を強調し、有紀の利用価値を見出す存在として描かれています。

キャスト

映画の主な出演者と役柄は以下の通りです。

荒谷有紀（演：穂花）：社会との関わりを断ち、引きこもり生活を送る主人公。自身のネット配信を黙認して生活費を得る。
伊藤恵二（演：三浦アキフミ）：有紀の生活をネット配信する映画オリジナルキャラクター。有紀を利用し収益を得る。
山崎勝也（演：大橋てつじ）：有紀と体目的で関係を持つ男。一方的で危うい態度で有紀に接する。
馬戸あける（演：田村泰二郎）：支援センターのカウンセラー。有紀を救おうとする一方で、彼女の配信の熱心な視聴者という裏の顔を持つ。
松田信行
中谷千絵

スタッフ

企画・製作：永森裕二
原作：山本直樹「テレビばかりみてると馬鹿になる」
監督・脚本・編集：亀井亨
プロデューサー：黒須功
撮影：中尾正人
美術：西村徹
衣裳：杉本京加
ヘア・メイク：堀川なつみ
照明：中村拓
音響効果：丹愛
スチール：奥田彰
録音：古谷正志
配給・宣伝：バイオタイド
製作：AMGエンタテインメント

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