テレビ山口くん

テレビ!山口くん

『テレビ!山口くん』は、山口県を拠点とするテレビ山口（tys）で、1986年4月から1993年3月まで約7年間にわたり放送された、地域密着型のローカルテレビ番組です。

メイン司会を務めたのは落語家の笑福亭小つる（現：笑福亭鶴瓶）。彼は前番組にあたるローカル枠の『サタデー6』でも司会を担当しており、番組の「顔」として親しまれました。アシスタントは当初、フリーアナウンサーで歌手の河内理恵が務め、後に女性デュオのBe-2（北沢清子、山本恵子）に交代しています。

番組はスタート時、毎週土曜日の深夜24時15分から90分間にわたって放送される、若者層を意識した深夜番組として企画されました。この時期は公開収録の形式を採用し、収録したその日の夕方に放送するという、いわゆる「撮って出し」の手法を取り入れていました。また、当時同じ時間帯に放送されていた音楽番組『TVビデオマガジン』を番組内に内包する構成でした。

しかし、視聴率が期待ほど伸び悩んだこともあり、放送開始からわずか半年後の1986年10月には、番組は大きな転換期を迎えます。『TVビデオマガジン』が再び分離され、放送時間も土曜日の夕方、16時50分から17時30分までの40分間へと大幅に短縮されました。放送枠は半分以下になったものの、同時に番組形式を公開生放送へと変更。ターゲット層も若者からファミリー層へとシフトし、内容も大きくリニューアルされました。

1990年4月からは、山口市にあるニューメディアプラザ山口内のスタジオから公開生放送を実施するようになります。このスタジオは、年に一度開催される『山口県ふるさとCM大賞』の収録場所としても利用されていました。

番組が始まった1986年4月から1987年9月までの期間、テレビ山口はTBS系列とフジテレビ系列の番組を放送するクロスネット局でした。このような背景から、『テレビ!山口くん』は、フジテレビ系列で放送されていた全国ネットの特別番組『金曜おもしろバラエティ』枠内で企画された『さんま・一機のその地方でしか見られない面白そうな番組を全国のみんなで楽しく見ちゃおうとする番組』において紹介されたことがあります。山口県でしか見られないローカル番組として、その一部が全国に放送される機会を得ました。

約7年間の放送を終えた『テレビ!山口くん』は、1993年4月からは後継番組である『やまぐち情報トレンド サタスパ!』へとバトンタッチされました。『サタスパ!』はその後、平日の夜のTBS系列ローカルセールス枠へと移動し、こちらも長く親しまれる番組となりました。

エピソード

番組名の決定にあたっては、制作陣が全国の番組タイトルを参考にしましたが、驚くほど多くの名前が重複しており苦労したと伝えられています。そのような中で「テレビ山口くん」というアイデアが出され、その斬新さと、局名を冠することでテレビ山口自体の宣伝にもなるという判断から、最終的なタイトルに決まったそうです（『テレビ山口二十年史』による）。

また、番組の生放送中にスタジオが停電に見舞われるというアクシデントがありましたが、明かりが消えた中でも放送は中断せず、そのまま続けられたという出来事もありました。

さらに、お笑いタレントとして有名になる前の松村邦洋さんが、まだ高校生だった頃に素人として番組に出演したことがあります。彼は自身の持ちネタである鬼瓦権造の物真似の扮装で登場し、番組に彩りを添えました。

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