テン (Y&Tのアルバム)

Y&Tの7枚目のスタジオ・アルバム『テン』は、1990年にリリースされ、バンドの歴史において重要な位置を占めています。前身のイエスタデイ&トゥデイ時代から数えると通算10作目にあたるこのアルバムは、メンバー交代という変化を経て制作されました。

制作背景

ギタリストのジョーイ・アルヴィスの脱退に伴い、ステフ・バーンズが後任として加入しました。アルバム収録曲の「シティ」は、当時アリス・クーパー・バンドのギタリストであったアル・ピトレリがソングライティングに貢献。興味深いことに、ピトレリがクーパーのバンドを脱退した後、ステフ・バーンズが後任を務めるという縁も生まれました。また、本作のレコーディングでは、元ジャーニーのスティーヴ・スミスが、多くの楽曲でドラムを担当しています。

バンドは本作リリース後、一度解散しますが、1995年には解散時と同じラインナップで再結成を果たしました。

反響と評価

アルバム『テン』は、アメリカのBillboard 200で110位にランクイン。収録曲の「ドント・ビー・アフレイド・オブ・ザ・ダーク」は、ビルボードのメインストリーム・ロック・チャートで31位を記録しました。

批評家の間では評価が分かれています。Stephen Thomas Erlewineはオールミュージックにおいて5点満点中2点を付け、「Don't Be Afraid of the Dark」には良いリフもあるものの、アルバム全体としては印象に欠け、際立ったスタイルや閃きがないと評しました。しかし、ポール・エリオットは2024年に、「レッド・ツェッペリンを思わせるリフを持つ「Hard Times」、アコースティック楽器を取り入れた「Ten Lovers」、熟達したAORの「Don't Be Afraid of the Dark」など、一流のハードロック・レコードである」と評価しています。

収録曲

1. ハード・タイムス - "Hard Times"
2. ルーシー - "Lucy"
3. ドント・ビー・アフレイド・オブ・ザ・ダーク - "Don't Be Afraid of the Dark"
4. ガール・クレイジー - "Girl Crazy"
5. シティ - "City"
6. カム・イン・フロム・ザ・レイン - "Come in from the Rain"
7. レッド・ホット&レディ - "Red Hot & Ready"
8. シーズ・ゴーン - "She's Gone"
9. レット・イット・アウト - "Let It Out"
10. テン・ラヴァーズ - "Ten Lovers"
11. ゴーイン・オフ・ザ・ディープ・エンド - "Goin' Off the Deep End"
12. サレンダー - "Surrender"

参加ミュージシャン

デイヴ・メニケッティ - ボーカル、ギター
ステフ・バーンズ - ギター、バッキング・ボーカル
フィル・ケネモア - ベース、バッキング・ボーカル
ジミー・デグラッソ - ドラムス

アディショナル・ミュージシャン
スティーヴ・スミス - ドラムス
ジェフ・パリス - キーボード、バッキング・ボーカル

『テン』は、Y&Tの音楽性の幅広さと、バンドを取り巻く状況の変化が反映された作品と言えるでしょう。

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