テーバイ攻めの七将

『テーバイ攻めの七将』

『テーバイ攻めの七将』は、古代アテーナイの詩人アイスキュロスによる歴史的なギリシア悲劇で、その内容はギリシア神話に基づいています。この作品は紀元前467年にアテナイで開催された大ディオニューシア祭の際に上演され、当時の観客に深い印象を与えました。本作は『ラーイオス』、『オイディプース』といった他の作品と共に構成される三部作の一部として知られていますが、現在確認できるのはこの『テーバイ攻めの七将』だけです。

作品の背景及び概要

『テーバイ攻めの七将』は、古代都市テーバイを舞台にした物語で、王位を巡って起こる兄弟間の争いが核心となっています。物語の中心人物であるエテオクレースとポリュネイケースは、父親オイディプースの呪いを受けて王位を巡って争うことになります。この作品には、彼らの戦いに関与する多くの登場人物が含まれており、戦闘そのものの描写はないものの、各種の状況や心理描写が織り交ぜられています。

あらすじ

物語の始まりでは、アルゴス勢がテーバイを攻め寄せています。エテオクレースは城内で混乱する民衆を励まし、アルゴス軍の攻撃に備えます。彼は城の7つの門に攻め入る将たちを知り、それぞれに防衛のための配置を決めます。最終的に第7の門には、彼の兄であるポリュネイケースが挑むこととなり、エテオクレースは彼との対決を避けようとしますが、運命の声に従わざるを得ません。結果として、兄弟ともに相討ちとなり、この戦いの悲劇が深刻な結末を迎えます。

登場人物

本作の登場人物には、エテオクレースとポリュネイケースのほか、彼らの家族であるアンティゴネーやイスメーネー、そして合唱隊の乙女たちが含まれます。重要な役割を果たす使者は、戦の進行に関する情報を城内にもたらします。主に2人の俳優によって演じられ、合唱隊は彼らの感情や状況を表現する重要な役割を担っています。

作品の特色

アイスキュロスのスタイルには、省略と対比が目立つ特徴があります。戦いの過程そのものはお尋ねしない代わりに、登場人物の内面的葛藤や運命が強調され、特にエテオクレースの英雄性が端的に表れています。その独自の表現方法により、観客は戦の悲劇をより深く理解し感情移入することができるのです。

現存するテキストとその影響

『テーバイ攻めの七将』は、古代の他の作品と同様に、後の時代の悲劇にも大きな影響を与えています。その後のソポクレースやエウリーピデースによる作品にもリスポンスが見られ、特に彼らが描くキャラクターや物語のテーマには共通点が存在します。この作品は、ギリシア悲劇の形成に寄与した重要な歴史的資料として位置づけられています。嬉々として観衆の前に姿を現した劇の背後には、悲劇的な運命が色濃く反映されています。

このように『テーバイ攻めの七将』は、単なる戦の物語ではなく、運命に翻弄される人間の姿を描いた普遍的なテーマを内包する、偉大な悲劇として今なお多くの人に愛されています。

もう一度検索