テーペット

テーペット：黎明期のオーディオカセット規格

テーペットは、1958年にアメリカのRCAビクター（現在のヴァンティヴァ）によって開発された、オーディオ用の磁気記録テープ媒体の規格です。これは、初期のオーディオカセットテープの一つとして知られており、後に登場する様々なカセットテープ規格の開発に影響を与えたと考えられています。

テーペットの特徴

テーペットは、音楽を録音・再生することを主な目的として開発されました。当時、主流であったオープンリール式のテープデッキに代わる、より手軽な音楽再生手段として構想されました。テーペットのテープ速度は3.75インチ毎秒（約9.5センチメートル毎秒）で、4トラックの往復再生により、合計60分のステレオ再生が可能でした。

テープの幅は6.3mmと、オープンリールテープと同じ幅を採用していました。これは、後に登場するコンパクトカセット（テープ幅3.8mm）が、より小型化を追求したのとは対照的です。テーペットのカートリッジは、縦12.7cm、横17.8cmと比較的大きく、コンパクトカセットの約4倍近いサイズでした。

テーペットが与えた影響

テーペットは、フィリップスが開発したコンパクトカセットや、アイワ（現ソニーマーケティング）のマガジン50テープカートリッジ、ソニー・松下電器産業（現パナソニック）・ティアックが共同開発したエルカセットなど、その後の様々なテープ規格の開発に影響を与えたとされています。特に、コンパクトカセットが当初は会話録音用として開発されたのに対し、テーペットは音楽再生を目的とした点で、その後のオーディオカセットの方向性を決定づける重要な役割を果たしました。

テーペットの短命

しかしながら、テーペットは市場に広く普及することなく、短期間で生産を終了しました。これは、当時まだオープンリール式のテープデッキさえ一般に普及していなかった時代背景が大きく影響しています。テープ媒体自体がまだ一般に広く認知されていなかったため、テーペットは市場の支持を得ることが難しかったのです。また、カートリッジの大きさが携帯性に欠ける点も、普及を妨げる要因となりました。

テーペットの歴史的意義

テーペットは、短命に終わったものの、その後のオーディオカセットテープの歴史において重要な役割を果たした規格の一つです。音楽再生という明確な目的を持って開発されたこと、またオープンリールテープと同じテープ幅を採用したことは、後のテープ規格の開発に大きな影響を与えました。

関連項目

音響機器
オーディオカセット
オープンリール
コンパクトカセット
* エルカセット

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