ディアナ・ソレル

ディアナ・ソレル：永遠の時を生きる月の女王

『∀ガンダム』に登場するディアナ・ソレルは、月世界を統治する女王であり、主人公ロラン・セアックにとって憧れの存在です。1000年以上もの時を生きながら、外見は19歳という神秘的な存在であり、その正確な年齢は明らかにされていません。彼女は「月の千年女王」とも呼ばれ、統治者として1～2年の公務と100年単位の人工睡眠を繰り返すことで、その地位を維持してきました。

人物像

ディアナは基本的に高潔で人間味あふれる人物ですが、世間知らずな一面も持ち合わせています。自制心が強く穏やかな性格であり、キエル・ハイムと衣装を交換し合って楽しむなど、お茶目な一面も見せます。地球帰還作戦によって生じた多数の犠牲者や避難民に対する責任感も強く、為政者としての自覚も持ち合わせています。家族や親族は存在せず、側近の女官や知人とも親密な関係を築けていない、孤独な女王でもあります。

彼女の真意を理解しているのは、親衛隊長のハリー・オードと地球帰還民のロラン・セアックのみと言えるでしょう。他の取り巻きたちは、それぞれ政治的な思惑や彼女の権威を利用しようとする者たちばかりです。むしろ、ロランを巡る恋敵であるソシエ・ハイムに対しての方が、自然体で接することができています。

容姿はキエル・ハイムと瓜二つですが、両者に血縁関係はありません。肌の色は、ディアナが月のように青白いのに対し、キエルは少し日焼けしたような白い肌をしています。また、目のハイライトもディアナは目立たず、キエルの方が目立つという違いがあります。ただし、これらの演出は視聴者向けであり、作中の登場人物には見分けがつきません。

劇中では、常に平和的な解決を目指しており、例外としてギンガナム艦隊の駆逐を命じたのみです。しかし、ライフルを撃ったり、ビームライフルについてロランに説明するなど、立場上、軍事的知識も豊富です。MSや戦艦の性能にも詳しく、ジャンダルムの脱出シャトルを操縦したこともあります。

地球へ降りた理由は、人工睡眠を止めることで人として歳を取り、生涯を全うするため、そして人工睡眠を繰り返すムーンレィスにも生の喜びを教えるためでした。しかし、地球帰還作戦はアグリッパ・メンテナーに反対され、ディアナの地球帰還後、アグリッパに月の支配権を掌握されることになります。

政治的立場

ディアナの父親が月の土壌改良に成功したことから、彼女は月世界の統治者となりました。ムーンレィスからは半ば神格化され崇められていますが、すべてのムーンレィスが全面的に恭順しているわけではありません。テテス・ハレに恨まれていたり、地球帰還作戦をきっかけに家臣のフィル・アッカマン、アグリッパ・メンテナー、ギム・ギンガナムらに背かれ、クーデターが起こる事態も発生します。

しかし、月ではディアナへの信頼も君主制も維持されており、月に帰還後、黒歴史をゲンガナムに表示し、ゲンガナム内で暴動が起きた際に、ディアナが鎮圧のための演説を行ったところ、あっさりと沈静化するほどの影響力を持っています。

戦争終結後、ディアナと入れ替わったキエルが月に戻ると、ムーンレィスに女王として迎え入れられました。

終戦後

終戦後、ムーンレィスがミリシャと和解すると、ディアナはキエルと入れ替わり、ロランと共に地球で隠棲します。この理由について、富野由悠季監督は「なぜディアナがロランに自分を看取る事を頼んだのか？」という事に少しだけ触れています。

最終話の脚本は何度も書き直され、初期稿ではディアナが肉体的に老いている描写がありましたが、最終稿では肉体的変化を強調せず、杖をついたり声の調子をやや変えるなど、ほのめかす程度に表現されています。

関連作品での描かれ方

ディアナは、関連作品でも様々な描かれ方をされています。

あきまんの漫画『∀ガンダム 月の風』では、地球と袂を分かち外宇宙へと脱出したニュータイプ達の中から、先祖返りをおこして地球圏への帰還を試みた一団の人々を祖先に持つとされています。
福井晴敏の小説『月に繭地には果実』では、自らもモビルアーマー「ムーン・バタフライ」に搭乗し、反旗を翻したアグリッパ・メンテナーたちと交戦状態に陥った末に重傷を負い、グエンを射殺して共に死亡しています。
佐藤茂の小説『∀ガンダム』では、自ら搭乗した「月光蝶」でグエンが乗った「ブラックドール」と戦闘の末、共に軌道上から彼方の地に流れ落ちて、ウィルとキエルの兄妹をグエンとの間に授かっています。
ときた洸一の漫画『∀ガンダム』では、ロランとの隠棲は描かれておらず、隠棲しているのか、女王のままでいるのか不明となっています。
* 曽我篤士の漫画『∀ガンダム』では、ロランが行方不明となっており、地球で隠棲もせず、月でキエルと共に女王として、時折入れ替わりながら暮らしています。

備考

「ディアナ」という名前を考案したスタッフは途中降板したとされています。

彼女は「みんなで選ぶロボットアニメーションベスト100」の「一番お気に入りのヒロインは？」で第43位にランクインしました。

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